2人に1人が罹患、年間100万人が診断――日本全体の負担は「約2兆8600億円」 “1兆円超”圧縮も…予防できるがんとは?
日本人の死因1位で、2人に1人がなると言われる身近ながん。この病気によって日本社会全体が抱える経済的負担が、約2兆8597億円に上るとの推計結果が発表されました。ただ、その4割ほどは「予防できるがん」によるもので、減らせる可能性もあります。
有働由美子キャスター
「約2兆8597億円の負担。これは、がんによって日本社会全体が抱える経済的負担のことです。がんになった時にかかる医療費や、働けなくなってしまうことによる損失などを金額として計算したものです」
「国立がん研究センターなどの研究チームが、国内のがん治療患者(2015年)のべ400万人の記録から推計し、新たに発表しました。莫大な金額になりますね」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「2人に1人がなると言われているがんは、今では治せる病気になってきています。それでも日本では年間約100万人ががんと診断されていて、死因の1位ではあります。それだけに、経済的な負担という面でも、これだけの数字になってしまっています」
小栗委員長
「ただ、このうち4割近くにあたる約1兆240億円は、もしかしたら減らせるかもしれません。『予防できるがん』によるものだからです」
有働キャスター
「『予防できるがん』とは、どういうことですか?」
小栗委員長
「さまざまありますが、例えば胃がんの中でもピロリ菌の感染によるものは、除菌治療をすることで予防できます。子宮けいがんなら、HPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチン接種が有効な予防法とされています」
「肺がんの中でも、喫煙によるものは禁煙で防ぐことができます。肝臓がんなどで、飲酒によるものは飲む量を調整することで予防できます」
有働キャスター
「あえての確認ですが、(お酒を)飲むなということではないんですよね?」
小栗委員長
「はい。男女によって違いがありますが、厚生労働省によると、女性では1日あたり日本酒なら1合以上、アルコール度数5%のビールや酎ハイなら500ミリリットル以上摂取すると、がんのリスクが高まります」
「今回、がんによる経済的負担を金額で示したことについて、研究チームは『金銭的リターンを示すことで、国民によりいっそう、がん対策に取り組んでいただきたい』としています」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「映画やドラマの影響もあると思いますが、がんは病気の中でも特に、なんとなく恐れられているイメージがあるように思います」
「ただ日本人の2人に1人がかかる身近なものなので、がんを患いながら仕事も生活も普通にしている方も多くいらっしゃいます。そうすると、家族や職場の方など、共にがんに向き合う関係人口はもっと多いわけです」
「予防できる種類もあれば、早期発見さえすれば治せるものも、今の時代はあるということです。がんはなった方だけが向き合うものではなく、誰もが関わりうる病気として少しずつ知識を増やしておくことも大事かなと思います」
有働キャスター
「私も大切な人たちをがんで亡くしています。家族の経済的な負担も大きいですし、心の負担も大変になります。予防できるものならできるだけしたいです。自分自身もですが、どうぞ周りの方へも、できる予防を呼び掛けていただきたいと思います」
(8月2日『news zero』より)