気圧の変化で頭痛が……7割が女性患者の「天気痛」とは? 第一人者に聞く、天気と症状を記録する“頭痛日記”の使い方
多くの女性が、気圧の変化で頭痛などの痛みを引き起こす「天気痛」に悩んでいます。のべ1万人以上を診察してきた第一人者の医師や、患者に取材しました。16歳の女性患者は、頭痛の傾向を把握して治療につなげるため、「頭痛日記」をつけ始めました。
■患者の7割が女性…天気痛の症状は
「3月8日の『国際女性デー』に合わせて、女性の体と健康について考えていきます。天気の変化で頭痛などの症状が出る『天気痛』についてお伝えします」
日本初の「天気痛」専門外来がある、愛知・長久手市の愛知医科大学病院を訪ねました。受診する主婦は「やっぱり気圧が…」「頭が痛い。雪が降ったのかなとか、雨が降ったのかなっていう…」と医師に説明していました。
天気痛は、天候の変化により痛みが引き起こされる症状のことです。
6年前から頭痛に悩む大学生は「(頭痛が)ひどい時は1日寝ていたり。天気予報ができるくらい。(頭痛で)雨が降るのが分かったので」と話します。
■第一人者が注目…「内耳」への影響
愛知県に住む患者の猪子愛莉さん(16)に取材しました。
ひどい時は、頭痛とめまいで動くことができないといいます。母親が撮影した動画では、「愛莉、大丈夫? 部屋、暗くしようか?」と声をかけられても黙って頷くのみで、毛布で体を覆ってつらそうな様子です。
愛莉さんの診察に当たる医師で、天気痛の第一人者である愛知医科大学の佐藤純客員教授は15年で、のべ1万人を診てきました。
佐藤医師
「気圧を耳の奥の『内耳』で感じると、頭痛が出てしまいます。男性よりも女性の方が、気圧の変化を感じやすい可能性があると思います」
佐藤医師が注目したのは内耳です。低気圧の接近などで気圧が大きく変わると、内耳の器官が刺激され、脳の血管が拡張し、頭痛やめまいなどを引き起こすといいます。
■治療に向け…「日記」で傾向を把握
診察で、佐藤医師は愛莉さんと母親に「日記って書いてもらってるんだっけ?」と尋ねました。母親が「書いてないです」と答えると、佐藤医師は「書こうか。これあげるわ」と、ある紙を差し出しました。
愛莉さんが受け取ったのは、天気と自分の症状を記録する「頭痛日記」の用紙です。日記をつけ始め、2月26日の欄には「外出したら少し頭痛がして、日常生活に少し支障あり。」と書き込みました。
愛莉さん
「人混みの中にいたので疲れてしまって、頭が痛くなっちゃったと思います」
体調を当時の天気図と照らし合わせて見ると、頭痛が起きた2月26日は低気圧が本州に近づいていました。低気圧の接近で体調が悪化するのは、天気痛の特徴の1つだといいます。
佐藤医師は愛莉さんについても、頭痛が起きる傾向を把握して、治療につなげていきたいとしています。
佐藤医師
「(頭痛の傾向に)合わせて計画を立てたり、無理をしないようにしようとか、コントロールしながら、最終的には(頭痛に)勝つ方向に持っていくみたいなことは、きちっと見てないとできない」
■辻さん「気持ちだけでも楽に」
有働由美子キャスター
「辻さんも天気痛で悩んでいらっしゃるそうですね」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「『なんか今日、コンディション悪いな』という時に気圧のアプリを見ますが、だいたい低気圧で、自分が低気圧に弱いんだなというのが分かりました」
「どうしても、調子が悪いと自分を責めてしまいがちだと思いますが、『今、低気圧だからか』と理解して、少し俯瞰して見られると、気持ちだけでも楽になれるかなと思います」
岩本アナウンサー
「佐藤医師によると、天気痛がなかなか周りに理解されずに苦しんでいる方も多いそうで、『まずは、こうした症状があることを知ってほしい』と話していました」
(3月2日『news zero』より)