×

法廷画の第一人者・くどう昭さん勇退へ

2015年4月4日 19:12
法廷画の第一人者・くどう昭さん勇退へ

 裁判の様子を絵で伝える法廷画の第一人者、くどう昭さんがこの春、勇退する。38年にわたり数々の重要裁判を見つめてきたくどうさんが、最後の1枚に込めた思いとは?

 オウム真理教教祖の松本智津夫死刑囚。政界のドンだった金丸信元自民党副総裁による巨額脱税事件…。法廷で起こったことを臨場感あふれる絵で伝える法廷画。イラストレーターのくどう昭さんは、裁判の様子を絵で伝える日本テレビの法廷画家だ。

 くどうさんが法廷画を初めて描いたのはロッキード事件だった。カメラでの撮影が許されない裁判の様子をなんとかして伝えたい。日本テレビが、イラストレーターのくどうさんに法廷の様子を描いてもらえないか依頼した。

 くどうさん「新しいメディア(法廷画)の誕生と成長ですか、そういうものに立ち会えるという感じはもっていました」

 ロッキード事件の初公判から38年。凶悪犯、有名人、政治家など、法廷画家の草分けとして今までに描いた絵は2000枚近くになる。

 Q:印象に残った被告は?「ロッキード事件の田中角栄。ロッキード事件の登場人物はかなり覚えています。それとやはりオウムでしょうね」

 今年77才になったくどうさんは、法廷画家としての勇退を決めた。最後に描くのはオウム真理教の元幹部・高橋克也被告だ。松本智津夫死刑囚の裁判をはじめ、多くのオウム真理教の裁判を描いてきたくどうさんに高橋被告はどのように映るのか?法廷でスケッチしたノートをもとに、くどうさんは法廷画を描いていった。

 弁護士による最終弁論。高橋被告はモニターに視線を落とし、感情を顔に出さずに聞いている-。完成した法廷画には、最終弁論の緊迫した法廷の様子が表現されていた。

 くどうさん「内容について、あれこれ考えたりしないように努めてきたんです。客観的な立場であることが大事ではないかと思っています。ジャーナリズムの周辺をこれでもうろちょろできているということだけです。ある意味、これで最後。ほっとしているところあるんです」

 くどうさんの法廷画は、昭和から平成にかけての刑事裁判を伝えた貴重な記録として後世に残る。