活火山を学んで登山 小学校で“火山授業”
戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火以降、全国で火山の噴火が相次いでいる。こうした中、活火山の一つ、栃木・那須岳の麓の町では、子どもの頃から火山のことを知ってもらおうと火山についての授業を始めた。
那須岳は、気象庁が24時間態勢で観測する活火山だが、1960年代の噴火を最後に活動は落ち着いている。現在、噴火警戒レベルはもっとも低い「1」だ。しかし最近、全国の活火山で噴火が相次いでおり、日本の火山活動が活発になっていると指摘する専門家もいる。このため、火口から約5キロにある那須町の那須小学校では、身近な那須岳について学んでもらおうという授業を始めた。
まず、那須岳の防災対策を行っている宇都宮地方気象台の職員の授業を受けた。
宇都宮地方気象台・永田俊光火山防災官「(那須岳が)ひとたび機嫌が悪くなると、どーんと(噴火します)。溶岩流、何千℃、何でも溶かしてしまいます」
さらに、那須岳が噴火したら、どこまで溶岩流や火砕流が到達するか地図を作った。
先生「溶岩流の到達範囲、紫で塗りつぶして」
作ってみると、児童たちが学んでいる小学校の校舎まで被害が及ぶことがわかった。
そして3日後の今月3日、児童たちは那須岳に登った。あいにくの雨の中、急な山道を歩いて山頂を目指した。
山に到着してまず学んだのは噴石から身を守る方法だ。
那須岳山岳ガイド・高根沢勲さん「那須山が噴火したらどうすればよいか。リュックサックを外して、頭の上に載せます。これで体を噴石から守る」
実際に登山道を歩くと、地面から熱気が出てカメラのレンズが曇るほどだ。
「ここから出てる。温かい。熱いくらいだよ。臭い」「温泉の熱さみたいな感じ」-蒸気に触れてみた児童たちは、活火山であることを身を持って感じたようだった。
児童「迫力があって、危ないと思った」「どこに避難すればいいとか勉強してわかったので安心感がある」
町立那須小学校・相馬信義校長「知識を持って正しく(火山を)恐れる。大変よい取り組みではないか」
全国で火山活動が活発になる中、子どもの頃から火山への理解を深める取り組みは、火山との向き合い方の一つとして注目されている。