【解説】藤井聡太さん21歳に 七冠までの軌跡 残る「王座」は“鬼門”過去5回「挑戦者」にもなれず…
●“史上最強”の21歳
●残る一冠は「鬼門」
以上のポイントを解説に詳しく解説します。
18日、行われた棋聖戦第4局を見事勝利で飾り、「棋聖」のタイトル4連覇を果たしました。20歳最後の対局を「タイトル防衛」で締めくくり、前人未到の「八冠」に向け、あとは「王位」の防衛と、「王座」の獲得を残すのみとなりました。
18日の会見では次のように話していました。
――八冠への思いは?
藤井聡太七冠
「期待していただいていることはうれしく思うんですが、自分としてはそれほど意識はしていなくて、良い将棋が指せるようにがんばっていければと思っています」
藤井聡太さんの偉業をデビューから振り返ります。
2002年7月19日生まれの愛知・瀬戸市出身で、2016年に14歳と史上最年少でプロデビューします。17歳11か月で、初めてのタイトル「棋聖」を獲得しました。そして今年、20歳で将棋界で最も歴史あるタイトル「名人」を獲得し、「七冠」の偉業を成し遂げました。
そして、目指すは、将棋界でいまだ誰も成し遂げたことのない夢の「八冠」です。
藤井さんは「乗り鉄」としても知られています。鉄道に乗る時は、景色を楽しむために行きは「A席」、帰りは「D席」に座って両方の景色を楽しむというエピソードもあるほど鉄道好きなのです。
今年3月、「六冠」を達成した時には、記者から次のような質問を受けました。
――もしタイトル初挑戦を「名古屋駅」として、新幹線で終点「東京駅」へ向かったとしたら、今どの付近を通過中ですか?
藤井聡太さん(今年3月)
「えーと…」
――のぞみでも、こだまでも
藤井聡太さん(今年3月)
「う~ん…そうですね、じゃあ、静岡くらいということでお願いします」
実際、東海道新幹線「こだま」の停車駅に、藤井さんが獲得したタイトルを当てはめてみました。
最初のタイトル「棋聖」を獲得したのが17歳の時で、これを出身地の「名古屋駅」に当てはめ出発点とします。「王位」=三河安城駅、「叡王」=豊橋駅、「竜王」=浜松駅、「王将」=掛川駅となります。すると、六冠目の「棋王」がちょうど6駅目の静岡駅に当てはまるのです。
計算していたのか、偶然なのか定かではありません。ただ、将棋とは何手も先を読むものなので、路線図が頭の中に展開されていたのかもしれません。
その後、今年6月には「名人」のタイトルを獲得し、「七冠」を達成しました。そして、今年の秋に行われる「王座」のタイトルを獲得すれば、ついに「八冠達成」となります。
しかし、この路線図では「八冠」達成でも、終点の東京駅にはいたりません。記者の質問では「藤井さんにとっての“終点”を東京駅だとして」としていましたが、どう捉えればいいのでしょうか。
もしかすると、八冠達成のさらにその先を見据えているのかもしれません。
「早く八冠達成が見たい!」となりますが、残る一冠は「鬼門」です。
藤井七冠は将棋界に8つあるタイトル戦で、最初に挑戦した時と、その後の防衛戦でも16回連続で全て勝利しています。つまり、「失敗なし」となります。
ただ、残る「王座」に関してだけは、成績は全て「敗退」となっています。これまで挑戦した5回とも、予選か挑戦者決定トーナメントで敗退しているのです。
将棋でタイトル戦に出場するには、まず予選などを勝ち抜いて「挑戦者」になる必要がありますが、「挑戦者」になる前の段階で全て負けてしまっていることになります。
◇
その王座戦の「挑戦者」を決める戦いですが、藤井七冠は決勝まで駒を進めています。今回「王座」への挑戦者になれるかどうかの大一番は、来月4日に豊島将之九段との対局となります。前人未到の「八冠」に突き進む21歳を今後も注目したいと思います。
(2023年7月19日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)