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受賞決定の梶田氏、転機は小柴氏との出会い

2015年10月7日 1:11
受賞決定の梶田氏、転機は小柴氏との出会い

 今年のノーベル物理学賞が日本時間6日午後7時前に発表され、東京大学・梶田隆章教授の受賞が決まった。

 受賞理由となったのは、素粒子の一種“ニュートリノに質量がある”ことを発見したこと。

 選考したスウェーデン王立科学アカデミーは-。

 「この研究は、我々の概念をくつがえす世紀の発見です」

 いったい、どんな研究なのか-。

 ■「ニュートリノには質量がある」

 ニュートリノとは“宇宙で最も小さい粒子”と言われている物質だ。星の爆発で誕生するほか、太陽などからも放出されている。大きさは実に百兆分の1ミリ。地球上にも大量に降り注いでいるが、電子顕微鏡で見えないほど小さく、物質を通り抜けることから「幽霊粒子」とも呼ばれている。そのため、かつては質量はないと考えられていた。

 しかし、梶田教授は岐阜・飛騨市神岡町の地下1000メートルにもうけられた観測施設「スーパーカミオカンデ」で、ニュートリノを解析。そして1998年、岐阜県で開催された国際会議で、ニュートリノに“質量がある”ことを報告した。これは物理学の定説をくつがえす発見だった。

 ■梶田教授「人類の知の地平線を拡大するような研究」

 6日の会見で梶田教授は-。

 梶田教授「この研究というのは、何かすぐに役立つという物ではなくて、本当にいい言葉で言えば、人類の知の地平線を拡大するような、そういう研究を研究者個人の好奇心に従ってやるような分野だと思います」

 すぐに役に立つわけではないが、宇宙の神秘を調べる分野だという。そんな梶田教授だが、ノーベル賞受賞につながったのは、ある出会いがきっかけだった。

 ■梶田教授の転機となった出会い

 梶田教授は埼玉県東松山市出身。埼玉大学を卒業後、1981年に東京大学大学院に進学。そこで、転機が訪れる。

 梶田教授「この研究を進めるうえで私にとって重要だったのは、小柴先生、戸塚先生のお二方。人の出会い、素晴らしい実験との出会い、その辺りが1番良かったと思います」

 門をたたいたのが後のノーベル賞受賞者・小柴昌俊教授の研究室だったのだ。小柴教授といえば、「ニュートリノ」を世界で初めて観測し、2002年にノーベル物理学賞を受賞したこの分野の第一人者。梶田教授も、小柴教授の教え子として実験に参加していた。

 当時、小柴教授はこんな予言をしていた。

 小柴教授「神岡(スーパーカミオカンデ)の実験で、もう1つ確実に4~5年のうちに同じ賞(ノーベル賞)がきますよ」

 それから13年、予言は現実のものとなった。

 ■恩師の小柴教授「(受賞は)不思議だと思わない」

 6日夜、喜びを語った恩師の小柴教授。

 東京大学特別栄誉教授・小柴昌俊氏(89)「自分の教え子がそういう賞をもらったもんだから良かったですよ。(ノーベル賞受賞は)別に不思議だとは思わない。取ったって当たり前だと思う」

 ただ、こうも話した。

 東京大学特別栄誉教授・小柴昌俊氏(89)「(Q:群を抜いて優秀な教え子だった?)梶田が?特にそうも思わないけど」

 以上

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