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鬼怒川の堤防決壊から1か月 今も残る影響

2015年10月10日 18:25
鬼怒川の堤防決壊から1か月 今も残る影響

 鬼怒川の堤防が決壊してから10日で1か月。大きな被害を受けた茨城県常総市では、多くの人が避難生活を続けるなど影響が残っている。常総市三坂町から森本隼裕記者が伝える。

 1か月前、堤防が200メートルにわたり決壊した鬼怒川。現在は川岸に土砂を積み上げた後、コンクリート製のブロックで覆い、応急的にふさがれた状態となっている。一方、濁流が流れ込んだ住宅地に目を向けると、傾いた電柱や押し流された家屋など、被災した当時の光景とほとんど変わっていない。目の前を走っていた県道は濁流によって寸断され、地盤の土は大規模に削られたまま。水害の爪痕が今も生々しく残されている。

 三坂町には10日昼すぎ、内閣改造で就任したばかりの石井啓一国土交通相が視察に訪れ、市長らとともに犠牲者に黙とうをささげた。しかし、視察の様子を見ていた住民からは、いらだちの声も聞かれた。

 住民の男性「何一つ変わってないですよ。1か月間、国は何してたんだ、行政は何をしてたんだってことですよ」

 一方、市街地では今なお、片付け作業に追われる住民たちがいる。

 住民の男性「(Q:これはどういう品ですか?)仕事の関係で40年ほど集めた資料ですが、一気に捨てがたい。未練がありますから。当分ここで乾かして、使えるものがあったら使ってみようと」

 常総市では住宅50戸が全壊、3600戸以上が半壊したが、自宅に戻れない400人余りが今も避難所にいる。しかし、長引く避難生活に疲れをみせている。

 避難所の住民「食事が冷たいものばかりでしょ。たまには温かいものを食べたいなって」「いつまでもここにいられるとは思ってないから、早く立ち直らなきゃいけないと思ってるけど、ならないんだよね。立ち直る気に」

 一方、10日は復旧への動きもあった。関東鉄道・常総線は、浸水や土砂の流入でレールが変形などして、最後まで不通となっていた水海道と下妻の間で運行を再開した。

 乗客の男性「(開通して)良かったです。初めて不通になってありがたみを感じました」

 水海道駅長「復興という一つの過程の中で、(鉄道が)動いていること自体が力になれるのではないかと考えている」

 当面は3割程度に本数を減らし、特別ダイヤでの運行になるという。

 被災地は復興へ向けて少しずつ歩みをみせているが、住民が元の生活を取り戻すには長い時間がかかりそうだ。