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記述式導入へ センター試験はこう変わる

2016年1月14日 3:57
記述式導入へ センター試験はこう変わる

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。13日は、「変わる!センター試験」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。


 今週末はいよいよセンター試験が行われる。このセンター試験、今の中学1年生が高校3年生になる2020年度から、新しいテストに生まれ変わる。


■従来の選択式に記述式の問題を追加

 大学入試改革を議論している文部科学省の専門家会議は先月、国語と数学の問題例を公表した。これまでのマークシート方式、つまり選択式の問題だけでなく、記述式の問題も追加されるのだ。

 記述式は国語と数学から導入し、最大300字程度。採点に時間がかかるため、マークシート方式とは日程を分離し、前倒しも検討するという。


■国語は資料を分析し、表現する問題

 では、実際の問題例を見てみよう。

 【国語の問題】「交通事故の統計資料を見て、4人の高校生が話し合った。交通事故の発生件数、負傷者数、死者数それぞれの推移を示したグラフを見て、以下の空欄に合う意見を40字以内で書きなさい」

 【国語の問題例文】「自動車の台数と安全性に関係があると思います。つまり、自動車の台数は年々増加し続けているので、事故件数と負傷者数はなかなか減らなかったけれど、『(空欄)』ということです」

 【解答例】「自動車の安全性が向上してきたので、死者数は減ってきた」など

 資料を読み解いて分析し、それを文章で表現する力が求められている。


■数学は思考のプロセスが問われる

 数学は、月が地球に最も近づき満月が普段より大きく見える「スーパームーン」の大きさについて、三角比を用いた数式を書かせる問題だった。単純に答えを出すのではなく、数式を書くことで思考のプロセスも問われる。

 さらに、英語も変わる。「読む・聞く・書く・話す」の4つの能力すべてを見る出題が検討されている。例えば、書く能力を見る試験では、インターネットなどで友達を増やすことについて、20分で自分の意見とその理由を書かなければならない。こうした問題で、思考力・判断力・表現力を見ることができるとされている。


■“新テスト”の課題…高校校長の反応は?

 全国高等学校長協会長で都立西高校の宮本久也校長は、「これからの時代に求められる力を問う内容で意欲的だが、選抜試験に使うとなると、様々な課題がある」と話す。「受験者約50万人分の採点を誰が行うのか?コストは?」「公平な採点基準をどのように設けるのか?」「思考力を育てる指導は今まで以上に時間がかかる」などといった課題が指摘されている。

 また、記述式の試験だけ前倒しが検討されていることについて、「試験が前倒しされると、授業を今までより早く進めなくてはならなくなり、学校行事や部活が犠牲になる」と話していて、社会性や協調性などを育てるという、高校のもう一つの役割がおろそかになるのではないかと心配している。


■予備校関係者が考える効果的な受験勉強

 受験勉強もこれまでと違ったものになりそうだ。予備校関係者は次のように話している。

 駿台教育研究所・新大学入試制度対策担当 湧井宣行さん「内容は高校の学習範囲内だが、前提となる知識を習得してから、時間内に書く技術を身につけなくてはならないので、早め早めの準備が必要」

 河合塾・教育研究開発本部 近藤治副本部長「(メールやLINEに慣れて)書くことが苦手な子どもが多いので、自宅で知識をあらかじめ学び、授業では表現力を身につけるといった学習法が有効」


■ポイントは「自ら学ぶ」

 きょうのポイントは「自ら学ぶ」。表現力は短期間では身につかないので、日頃から自分の頭で考える習慣が必要になる。受け身型の勉強から、自ら学ぶ姿勢に切り替えることがカギとなりそうだ。