福島第一原発を抱え…戻らない日常 大熊町
東日本大震災から11日で5年を迎えた。福島第一原発のある福島県大熊町から福島中央テレビ・緒方太郎記者が報告する。
福島第一原発から10キロにある、日中の立ち入りが許される大川原地区にいる。福島第一原発で生まれた電気は、5年前のあの日まで、太い送電線を通り東京に送られていた。今、大熊町に住んでいた、1万1000人のすべての町民は、避難を強いられている。
福島は、日常を取り戻した所もあれば、まだあの日のままの場所もあり、復興のスピードにも徐々に差が生まれ始めている。
福島県内の震災による死者・行方不明者は1810人だが、ほかに避難生活が原因で亡くなった「関連死」は2031人と、岩手・宮城の倍以上。一方で、原発事故から5年を迎え、県内外に避難する人の数は10万人を割った。しかし、避難者の生活再建など乗り越えるべき課題は山積している。
リポートしている現場のすぐ近くには、緑のカバーで覆われている地面がある。これは、除染で出た放射性廃棄物を置いている区画。国は、大熊町と双葉町の一部に、除染で出た廃棄物を最長30年保管する『中間貯蔵施設』の建設を計画している。予定地に入る住民にとっては、帰還への足かせになりかねない。5年は決して節目ではなく、福島はきょうも歩みを続けている。