燃料費高騰に後継者不足 苦境の銭湯を復活へ “サウナブーム”追い風にリニューアルも…
燃料費の高騰や後継者不足で、長年、営業を続けてきた銭湯が苦境に立たされています。そんな中、廃業したものの復活へ向け動き出す銭湯や、歴史ある銭湯をリニューアルするなど、銭湯文化を守ろうとする動きも出てきています。
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かつて、町の憩いの場として、にぎわった銭湯。しかし、後継者不足や燃料費の高騰などで、年々その数が減っています。
群馬・桐生市にある「一の湯」もその1つです。少なくとも大正元年(1912年)には営業が始まり、長年営業を続けていましたが、2018年、後継者がいなかったことで地域に惜しまれつつ廃業になりました。歴史ある銭湯がまた1つ終わりを迎えたのです。
しかし、「一の湯」を復活させようと、名乗りを上げた人が現れました。今年4月、埼玉県から移住してきた山本真央さんです。
一の湯 山本真央さん
「ここ(桐生市)に住みたいな、移住したいなと思っていたら、 この建物見た時にわぁーって、やろう! って思いましたね。全然ちゅうちょすることなく、ここで生きていこうと思いました」
歴史を感じる建物に一目ぼれしたという山本さんは、これまで銭湯で働いたことはなく、店の経営も初めてと、まさにゼロからのスタートとなりました。再開にかける思いを聞きました。
一の湯 山本真央さん
「ちっちゃい時に(銭湯に)入っていて、すごく好きだったんです。人と人が近いというか、今の時代そういうのが必要かなと思って」
来年春の再開を目指して、着々と準備を進めています。
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東京都によると、戦後、都内で最も銭湯の数が多かったのは1968年の2687軒。しかし、去年時点で、480軒まで減少しています。
町から銭湯が消える中、リニューアルで復活を果たした施設がありました。東京・港区では、約90年の歴史を持つ銭湯が2016年に閉店しましたが、今年4月に新感覚の温浴施設へと生まれ変わりました。
PARADISE 責任者・大澤秀征さん(22)
「極楽浄土をコンセプトにした温浴施設になっています。休憩室を含めて、全体的なデザインにすごい力を入れています」
手がけたのは、現在22歳の大澤さんです。リニューアルに合わせて作ったのがサウナルームです。
PARADISE 責任者・大澤秀征さん(22)
「銭湯文化を継承する上で、家になかなかできづらいサウナってものに力を入れると、わざわざ足を運びたくなる場所になるのかなと思って、力を入れました」
“サウナブーム”を追い風にたくさんのお客さんに来てもらうことで、「地域の活性化にもつなげたい」ということです。
足立区にある創業80年の堀田湯も、今年4月にリニューアルオープンしました。目玉は、薬草の香りが楽しめるサウナの後に入る深い水風呂です。水深は、なんと160センチ。都内で最も深い水風呂を目指したということです。
堀田湯 大塚輝店長
「深ければ深いほど喜ばれるということで、1番深くしました。 他では体験できない水風呂なので、喜んでくださってる方が非常に多いです」
利用客の反応は――
利用客
「肩までズンと来るのは、ひと味違いますよね」
「深くて広々とした水風呂少ないですからね。特に銭湯は少ないですからね」
他では体験できない水風呂が受け、客足はリニューアル前の6倍に増えているということです。
新たな掘田湯のコンセプトは「街を温める」。
堀田湯 大塚輝店長
「堀田湯を起点に地域活性化。とにかくみんなが元気に盛り上がっていけるような町になっていくのを目指したい」
銭湯文化は地域に根ざしつつ進化を続けています。