飲食店“原則禁煙”に賛否、戸惑う店も…
厚生労働省が受動喫煙対策のため、飲食店などでは原則禁煙を目指すというニュースが報じられ話題となっている。身近な飲食店での禁煙化の動き、店や利用者はどのように考えているのだろうか。
■3年前から全席禁煙のロイヤルホストでは―
全国に200以上の店舗を構えるファミリーレストラン「ロイヤルホスト」は、約3年前にすべての店舗で全席禁煙にしたという。
ロイヤルホスト・小池課長「(Q:なぜ全面禁煙を導入?)お客様に快適な空間でお食事をとっていただきたいということが1つ、もう1つは従業員にも煙のない環境で仕事をしてもらいたいと」「(Q:全席禁煙の影響は?)売り上げが若干減った店舗もございましたけども、ご家族連れや、女性客にご支持いただいた面もございます」
禁煙にした直後は、売り上げが30パーセント減った店舗もあったが、3か月後には、元に戻ったという。この店では、喫煙者にも配慮するため、4、5人が入れる大きさの喫煙室を設けていた。
■非喫煙者はもちろん「歓迎」
受動喫煙による死者は、年間1万5000人を超えると推計されており、厚労省は、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、飲食店などでは原則、建物内の禁煙を目指している。
ネットでは「全面禁煙が当たり前になることを祈る」「飲食店にとっては死活問題!」「愛煙家にとってはちょっと厳しい」などの声が聞かれた。
飲食店内が原則禁煙になると、一体どうなるのだろうか。街の人は―
「率直にうれしいです」「結局、分煙っていっても壁がちょっとあるだけで」「あっちから煙来るもんね」(主婦2人組・20代 非喫煙者)
「嫌ですよね。吸える環境の方がいいので、飲食店とか特に。分煙とか吸える環境が少しあればいい」(学生・20代 喫煙者)
■「吸えなくなったら別の店へ」の声も―
一方、店側はどのように感じているのだろうか。東京・台東区にある創業60年を超える定食屋さん。この店では、全席でタバコを吸うことができる。今後、原則禁煙になる可能性について、お客さんは―
「吸えなかったら、ガマンですね」「基本的に、吸えるお店を探す」
店主は客離れに不安を感じているようだ。厚労省は、店内に喫煙室の設置を認めることで、原則禁煙の方向にしたい考えだ。しかし、この店では、客席を減らして、喫煙室を設置するのは費用的にも難しいという。
■禁煙で売り上げ1.5倍の例も
一方、全席禁煙に踏み切った店もある。取れたての魚と、日本酒が楽しめる東京・新橋の居酒屋。以前は全席でタバコが吸えたが、2015年のリニューアルオープンを機に全席禁煙にした。当初は、全席禁煙で客足が遠のくことを心配していたそうだが―
日本酒原価酒蔵・奥村さん「前の業態と比べて、毎月の売り上げが1.5倍に上がりました」「たばこの煙が気にならないというところが、お客様の来店動機になっている」
■医療機関、小中学校ではより厳しい条件に
東京オリンピック・パラリンピックの開催までに禁煙化を目指しているのは、飲食店だけではない。例えば、空港や駅などでは、飲食店と同じく、建物の中に喫煙室を設けることが認められる方針だ。
また、運動施設などでは、建物の中は禁煙だが屋外の敷地であれば、喫煙所を設置できる方向で検討されている。
一方、医療機関や小中学校・高校では建物の中だけでなく、外の敷地でも禁煙となる方針だ。これについて医療関係者からは「お見舞いに来た家族にたばこを我慢させるのはどうか」という声もあがっていて、厚労省は、こういった意見をヒアリングした上で、法案を調整していくということだ。
国中を巻き込む禁煙化の動き。厚労省は、今国会で法案の提出を目指している。