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高齢ドライバー事故防止へ その原因と対策

2017年1月27日 18:19
高齢ドライバー事故防止へ その原因と対策

 最近、高齢ドライバーによる交通事故が連日ニュースになっている。こうした高齢者の事故を防ぐため、警察庁は今月16日、高齢ドライバーの交通事故を防止する対策について話し合う有識者会議を開いた。認知症に詳しい専門家、国土交通省の担当者などが出席し、6月までに提言をまとめるとしている。


■高齢ドライバーの死亡事故原因は?

 会議では、高齢ドライバーによる死亡事故について、詳細に分析した結果が初めて公表された。

 75歳以上の高齢ドライバーの死亡事故の原因を見ると、最も多かったのが「アクセルとブレーキの踏み間違いなど運転操作ミス」で29%、次いで多かったのが「交差点で安全確認を怠ったなど安全不確認」で23%、「居眠りなどによる前方不注意」が19%と続いた。

 「アクセルとブレーキの踏み間違いなど運転操作ミス」については、75歳未満の約2倍に上る。高齢者は若者に比べ、こうしたミスを犯しやすいと言える。

 警察庁は「高齢になることで様々な機能が衰えていくことが事故の要因だ」と分析している。視野が狭くなるなど身体機能の低下に加え、危険を察知しても反応が鈍くなっていることや、判断力が低下していることなどが事故につながっているという。

 愛知工業大学が視野について、ある実験を行った。モニターの中心にある対象を見た時、周囲がどこまで見えているか視野の広さを検証したところ、18歳から30歳の視野の範囲に比べ、31歳から64歳は狭くなり、65歳以上になると、さらに狭くなることがわかった。


■法改正で認知症対策を強化へ

 また、今回の会議では、死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの約半数が、直近の認知機能検査で「認知症の恐れ」もしくは「認知機能低下の恐れ」との結果が出ていたとの報告があった。

 去年10月、横浜市で小学生の列に軽トラックが突っ込み、小学1年生が死亡した事故では、当時、87歳の運転手が認知症だった可能性もあるという。

 そこで、今年3月には「改正道路交通法」が施行され、認知症対策が強化される。

 現在、75歳以上の運転者は、3年ごとにある免許の更新時に認知機能の検査を受けている。しかし、改正後は、免許更新時だけでなく、信号無視などの交通違反をした時にも臨時の検査が義務づけられることになる。

 医師が認知症と診断すれば免許は取り消し、または停止されることになる。


■進化する事故防止技術

 その一方で事故を防止する技術も進化している。先月、「オートバックスグループ」が「アクセルとブレーキの踏み間違い」を防ぐ装置の販売を開始した。これは、時速10キロ未満で徐行している時に、ブレーキと間違えてアクセルを急に踏み込んだとしても、加速しないという後付け装置。

 また、時速80キロで走行していても歩行者を認識できる「自動ブレーキ」の開発も進んでいる。


■新しい公共交通のアイデアを

 高齢者の中には危ないと思いながらも、車がなければ生活できないため、仕方なく乗り続けているという声も聞かれる。

 そこで今、注目されているものとして「デマンド(要望型)タクシー」というものがある。これは、電話で予約すると、自宅に迎えにきて、病院などの目的地まで相乗りなどの方法で利用できるもの。自治体が費用の一部を負担するため安い料金で利用でき、約340の市町村で導入されている。

 また、国は過疎地域で「自動運転のバス」などを走らせることを検討している。道の駅と山間部の集落を結ぶもので、2020年の導入を目指している。地域ごとの交通事情を考えながら、高齢者の「足」を確保する工夫が必要だと思う。