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40年の絆…天皇陛下、初のベトナム訪問

2017年3月2日 3:46
40年の絆…天皇陛下、初のベトナム訪問

 初めてのベトナム訪問で歓迎式典に招かれた天皇・皇后両陛下。クアン国家主席夫妻の出迎えを受け、笑顔を見せられた。去年退位の意向が明らかになってから両陛下が外国を訪問されたのは初めてのこと。

 飛行機でおよそ6時間。社会主義の国ベトナムの首都ハノイは経済発展も進む大都市。両陛下が社会主義国を訪問されるのは1992年の中国以来となる。

 初の訪問となったベトナムだが、実は、天皇陛下との間には40年前からの深い絆があった。天皇陛下は、2007年11月、宮中晩さん会で次のように述べられていた。

 「私がベトナム社会主義共和国とかかわりを持ったのは、ベトナム産のハゼを新種として記載し、その副基準標本をハノイ大学に寄贈したときのことです」

 陛下が長年ライフワークとされてきたハゼの研究。その中で、ベトナムとのつながりが生まれたという。首都ハノイの国立大学に、陛下が寄贈されたハゼの標本が今も保管されている。標本のわきには、天皇陛下が皇太子時代に発表された論文もあった。

 もともとこのハゼは、1974年、研究者の手でベトナムから陛下のもとへ届けられたものだった。陛下が公務の合間に研究を重ねられたところ、これが「新種」であると判明。陛下はベトナムの研究者のため、標本を贈りたいと考えられた。

 しかし、当時はベトナム戦争終結のころ。陛下は情勢が安定するのを待って論文を発表し、標本を贈られたのだ。今回、40年ぶりにご覧になる予定だという。

 ハノイ自然科学大学・生物博物館長「(このハゼは)日本・ベトナムの友好関係が非常に良い関係であることのシンボルです」

 両陛下は、ベトナム訪問を以前から望まれてきたという。

 プライベートで両陛下から御所に招かれたこともある歌手で俳優の杉良太郎さんは、陛下の思いをこう推し量る。

 杉良太郎さん「前々からお気持ちがあったでしょうね。ベトナムに一度は行ってみたいと」

 杉良太郎さんは、30年近くベトナムの孤児院などの支援を続け、園遊会などで、現地の状況を説明してきた。今回の両陛下の訪問では、晩さん会にも招かれている。

 杉良太郎さん「今まで戦争を強いられてきたベトナムという国。(両陛下は)自分が出向くことによって、平和のひとつでも多く種をまいていきたい、そういう思いが強いと思う」

 戦後70年の節目に実現したパラオやフィリピン訪問では、戦没者の「慰霊」をされた両陛下。ベトナムでも「戦争」の傷痕と向き合われる。

 ベトナムには、太平洋戦争のあと、10年近く現地に残り、フランスとの独立戦争を戦った「残留日本兵」が少なからずいた。

 彼らはその後、日本に帰国するが、現地には、残されたベトナム人の妻や子供たちが今も暮らしている。

 残留日本兵の妻 ルオン・ティ・ロックさん(93)「疲れたよ。日本人の夫はいやだ。長い結婚生活をして、4人の子供ができたのに、彼は帰国してしまった」

 残された人々の傷はいまだに癒えることはない。

 両陛下は2日、残留日本兵の妻たちと初めて対面し、苦難の人生をねぎらわれる。

 天皇・皇后両陛下は、ベトナムに6日間滞在したあと、タイに立ち寄り、去年亡くなったプミポン元国王の弔問を行われる予定。

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