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【解説】「過去“統一教会”と関係」新閣僚ら次々と… 「パンドラの箱開けてしまう」党として調査をしない2つのワケ

2022年8月15日 21:10
【解説】「過去“統一教会”と関係」新閣僚ら次々と… 「パンドラの箱開けてしまう」党として調査をしない2つのワケ

第二次岸田改造内閣が発足し、自民党の役員人事も行われましたが、そこでも焦点となったのは、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”との関係でした。

「韓国で15日も大規模集会」

「新閣僚ら つながりは?」

「今後の調査は?」

以上の3つのポイントを中心に詳しく解説します。

■“大規模集会” 各国の要人らメッセージ…中には現役大統領も

“統一教会”は12日から、本拠地の韓国で大規模な集会を行っています。

その中では、安倍晋三元首相の追悼セレモニーも行われましたが、教団側は銃撃事件と教団の関係については言及しませんでした。

また、この集会には、アメリカのトランプ前大統領もビデオメッセージを寄せました。

アメリカ トランプ前大統領
「特に世界平和に大きな貢献をしてくれた“ドクタームーン”(韓鶴子氏)に感謝する。素晴らしい女性だ」

教団の総裁である韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏を“ドクタームーン”と呼び、賛辞を送りました。

現役大統領を含む各国の要人からのメッセージも紹介しながら、教団は政治との結びつきを強調したわけです。

■今回起用された議員 “過去に関係”認めたのは20人以上に…

その一方で、“統一教会”との関係を厳正に見直す方針を示した岸田政権。岸田首相は先週、内閣改造と自民党の役員人事を行いました。教団との関係も焦点の1つでしたが、教団との関係をしっかり「点検」した結果、今回起用された中で、過去に教団となんらかの関係があったことを認めた議員が20人以上にのぼりました。

例えば、初入閣の寺田稔総務相は、教団に近い政治団体の会合に会費を支払ったことを明かしました。再入閣の加藤勝信厚労相も関連団体の取材に応じ、懇親会の会費も支払っていたということです。

こうしたことが、新体制のスタート後も次々と出てきています。新しい副大臣や政務官の中にも、関連団体のイベントに出席したり、祝電を送ったりと、少なくとも17人が過去に教団や関連団体となんらかの関係があったことを認めました。

■高市経済安保相 ツイッターに連投

前政調会長で今回、経済安全保障担当相に起用された高市早苗氏も、その1人です。

14日、ツイッターを続けざまに更新しました。“統一教会”との関係について、「政調会長在任中から徹底的に調べていました」ということですが、しかし、新聞社から「21年前の2001年に旧統一教会関連団体が発行する雑誌の対談に参加していたとの指摘があり」と投稿しました。

これについて、高市経済安保相は国民へのおわびとともに、次のように投稿しています。

高市経済安保相
「組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」

つまり、岸田首相に報告はしたが、大臣への起用は変わらなかったということです。そして、「今後、知らない媒体への対応は全て断ることをお誓いします」とツイートしました。

高市経済安保相は15日午後、会見で次のように述べました。

高市経済安保相
「(ツイッターには)前後のことも含めて、書かせていただいたということでございます。正直な気持ちでございます。いろんな意味でつらい思いはありますけれども、お役をいただいた限りは全力で働いてまいります」

■“統一教会”との関係 ある程度は想定内?

岸田首相としては“統一教会”との関係を厳正に見直すことをアピールしたかったように見えますが、一方である程度、教団との関係が明らかになることは想定内だったとみられています。

というのも岸田首相は、それぞれの議員が教団との関係が過去にあったとしても、「自ら公表・説明し、今後見直しを誓えば不問にしよう」という方針なのです。実際、内閣改造後の会見で、岸田首相は「(教団との)『関係見直し』を了承した者のみを任命した」と説明しています。

■党としての調査…踏み込まない2つの理由

こうした中、党としての調査を求める声もありますが、そこに踏み込まない理由は、主に次の2つです。

(1)調査漏れが発覚した場合の責任回避

もし、党が調査を行いその結果を公表した後で新事実や調査漏れなどが発覚した場合、執行部の責任が問われることになり、岸田政権にも大きな打撃となり得るわけです。そのため、それぞれの議員自らに説明をさせれば、万が一矛盾が出てきても、個々の議員の責任にできます。

(2)自民党を支援している他の宗教団体への影響

選挙の際、“統一教会”に限らず様々な宗教の信者がボランティアで手伝うこと自体は違法ではなく、与野党問わず幅広く行われています。

こうした中で自民党が“統一教会”について調査を行うと、他の宗教団体との関係についても調査を求める声が上がり、今後、宗教団体による選挙支援を受けづらくなってしまうという懸念があります。

ある自民党関係者は「党による調査はパンドラの箱を開けてしまうことになる」と指摘しています。

■霊感商法検討会立ち上げへ 河野消費者担当相「締め直さなければ」

“統一教会”を巡っては、霊感商法の被害が特に問題とされてきました。河野太郎消費者担当相は消費者庁に対し、霊感商法について、検討会を速やかに立ち上げるよう指示しました。

河野消費者担当相は霊感商法被害について「消費者庁として一度締め直さなきゃいかんところはあるのだろうと思った」「これだけ問題視されているので、消費者が安心できるようきっちり対応したい」と述べました。

    ◇

霊感商法の被害をこれ以上生まないように検討をするのは、当然のことだと思います。ただ、“統一教会”に結果としてお墨付き与えてきたような政治家との関係についても、同様に一度締め直して、「きっちり対応する必要もある」と言わざるを得ません。

(2022年8月15日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)

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