“男性の性被害”は「悪ふざけ」「いたずら」?――「男なら触られても…」「あるはずない」誤解も 緊急対策で初のホットライン
社会的に関心が高まる男性の性被害を巡り、国は26日、子どもや若者の性被害防止に向けた緊急対策を明らかにしました。男性・男児に特化したホットラインが開設されます。男性ならではの背景や、学校や家庭で子どもたちに教えるべきことなどを考えます。
■『#8891』利用者の大半は女性
有働由美子キャスター
「ジャニーズの性加害問題を巡って社会的に関心が高まっている、男性の性被害。どうにかしなくてはいけないということで26日、子どもや若者の性被害防止に向けた緊急対策パッケージが国で取りまとめられました」
「『男性・男児』と『文化芸術分野』の相談窓口をそれぞれ開設することが決まりましたが、初めて男性に特化したホットラインができます」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「既に、性別を問わず利用できる電話相談窓口『#8891』(はやくワンストップ)はありますが、利用者の大半は女性です」
■男性・男児に特化のホットライン…なぜ
小栗委員
「男性の性被害は『そんなことあるはずがない』『男なら触られて嫌じゃないでしょ』といった間違った考え方が多くて言いにくい、被害を受けた本人が『相談するほど深刻なものでもないでしょ』と思い込んでしまうケースも多いといいます」
「そのため国は9月中をめどに、より相談しやすいように男性に特化したホットラインを開設すると決めました」
「実際に10代の頃、男性教師から性被害を受けたことがあるという評論家の荻上チキさんも、自分が受けた性被害を『性的いたずら』だと軽く考え、大人になるまで相談してこなかったといいます」
■性被害を経験…荻上チキさんの思い
荻上チキさん
「とりわけ、男性から男性に対する被害については、これまで芸能界も含めて冗談のような扱いをされてきた。『あなたが嫌だと思ったことはとても大事なんだ』ということを伝えていくことは、とても重要です」
有働由美子キャスター
「男性だからという理由で、嫌だなと思っても悪ふざけで済まされてしまったり、声を上げられなかったりするという状況は変えないといけませんね」
■「正しい知識」得るための教材例
小栗委員
「そのため、今回の(国の)緊急対策では、子どもたちに正しい知識を得てほしいと提言しています。教材例として文部科学省の『生命(いのち)の安全教育』があります」
「幼児向け教材では、水着で隠れる所や口、顔はプライベートゾーン、つまり体の大切な部分なんだと教えたり、小学生向けの教材では『じぶんだけのたいせつなところをさわられていやなきもちになったら、どうすればいいかな?』と投げかけたりしています」
「こうした教材から、『嫌だと言う』『逃げる』『安心できる大人に相談する』ことを確認して、正しい知識で性被害の予防につなげたいとしています」
■辻さん「義務教育で教えるのが大事」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「子どもの頃や学生の時は、付き合うことや性に関すること自体が『いけないこと』のように教えられたりすることがあると思います。だからこそ、被害を受けた側は何も悪くないのに、無用な罪悪感で言い出せないことも多いのではないかなと思います」
「タブー視するような教育ではなく、プライベートゾーンや同意の大切さ、リスクを含めて、義務教育の課程の中でしっかりと教えていくことが大事かなと思います」
有働キャスター
「家庭の中でも大事だと思いますが、ではお子さんたちにどこからどう教えていいのかと迷う親御さんもいると思います。一例ですが、プライベートゾーンについて分かりやすく教えてくれる絵本『おしえて!くもくん』があります」
「お子さんを被害者にも加害者にも、傍観者にもさせないために、こういったツールをぜひ活用してみてください」
(7月26日『news zero』より)