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“統一教会”2審判決「取り消し」 最高裁がやり直し命じる 元信者の高額献金 “念書は無効”と判断

2024年7月12日 6:22
“統一教会”2審判決「取り消し」 最高裁がやり直し命じる 元信者の高額献金 “念書は無効”と判断

世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”に高額献金をした元信者側が教団側に損害賠償を求めた裁判で最高裁は11日、教団側が勝訴した2審判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

“統一教会”に損害賠償求める中野容子さん(仮名)
「やっとまっとうな判決が出たと思いました」

こう話すのは、いわゆる”統一教会”に母親が1億円以上の献金をしていた中野容子さん。7年前から教団側に損害賠償を求める裁判を起こしています。

教団側が裁判で提出した、中野さんの母親と教団関係者とのやりとりの映像…

教団関係者
「最大の課題はこれまで家庭連合に対して行った献金について、長女が返金手続きをすると言っていることですか?」

中野さんの母(当時86)
「はい」

教団関係者
「(長女の)意向に対してどういう思いをもっている?」

中野さんの母
「絶対(返金手続きを)やってもらったら困る」

教団関係者
「家庭連合に返金請求することになっては断じて嫌だと」

中野さんの母
「はい」

献金は母親が自分の意思で行ったもので、今後、返金を求めないことを約束する内容でした。

“統一教会”に損害賠償求める中野容子さん(仮名)
「高齢者で認知症になっている人をこんなふうに踏みにじるんだって」

中野さんが母親の献金について知ったのは、亡くなった父親の財産が残っていなかったことについて話をしていた際のことでした。

中野さんの母
「実は統一教会に献金をしてしまったことがその時初めてわかった」

母親が父親の資産を現金化したり、所有していた果樹園を売ったりして、1億円以上献金をしていたことが明らかになったのです。

返金を求めて教団側と交渉しましたが応じず、母親とともに提訴に踏み切りました。

ところが、ある問題が立ちはだかったのです。

それが、先ほどの映像で教団関係者が手にしていた書類。母親が教団側と交わした「念書」です。「損害賠償請求など、裁判上・裁判外を含め一切行わないことをここにお約束します」と記載され、母親の署名と押印もありました。

ただ、当時、母親には認知症の症状が出始めていて、その後、実際に「アルツハイマー型認知症」と診断されています。

“統一教会”に損害賠償求める中野容子さん(仮名)
「そこ(念書)に書いてあることも(母親が)理解していたとは到底思えません」

「念書」の存在などから、1審、2審とも教団側が勝訴していた裁判。

しかし、2審の判決がでた翌日に状況は一変しました。

安倍元首相の銃撃事件をきっかけに教団側による高額な献金の実態が明るみに出たのです。

最後の望みをかけて、中野さんは上告に踏み切りました。

そして11日、最高裁が下した判決は「2審判決を取り消し」、高裁で審理をやり直すよう命じました。

これまで認められていた“念書の有効性”について最高裁は…

最高裁の判決(念書の有効性について)
「女性(母親)は高齢で教団の心理的な影響の下にあり、終始、信者らの主導のもと作成された。公序良俗に反し無効」

“念書は無効”と判断。

また、献金の勧誘行為について、「1億円を超える献金をし、所有する土地も売却し、そのやり方は異例のものと評し得る」などと指摘。違法性について審理が尽くされていないとして、審理のやり直しを命じたのです。

判決では念書の有効性について、「合意した経緯、当事者が被る不利益など総合考慮して決めるべき」とし、宗教団体による献金の勧誘行為の違法性については、「家庭環境や献金の経緯、額など多角的な観点で検討することが求められる」とするなど、最高裁として初めて判断基準を示しました。

この判決に、中野さんは…

“統一教会”に損害賠償求める中野容子さん(仮名)
「なぜもっと早く、それ(念書無効の判断)は最高裁でなくてもできるはずのこと」

一方、教団側は「差し戻しという結果になり残念でなりません。今後も正しさを主張して参ります」とコメントしています。

(7月11日放送『news zero』より)