去年の難民認定42人、日本の課題とは?
世の中で議論を呼んでいる話題についてゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「難民受け入れ、日本の課題」。NPO法人WELgee代表理事・渡部清花さんに聞く。
国連難民高等弁務官事務所によると、去年、紛争や迫害によって、移動を強いられた人は、世界で7080万人と、初めて7000万人を超えた。また各国の統計よると、第三国に逃れ、定住を許可された人は、9万2400人ほどいる。
一方、日本の法務省によると、去年、難民認定申請における「一次審査」及び「不服申し立て」の処理件数は、合わせて2万1673人。そのうち正式に難民認定された人はわずか42人にとどまっている。世界でも難民の受け入れが、極めて少ない日本。課題と解決策を聞く。
――まずはフリップをお願いします。
『難民に活躍機会を』と書きました。難民は遠い国の話かなと思いがちですが、実は日本にもそうした国々から希望を求めて逃れてきた人たちがたくさんいます。そういった人たちを国だけが責任をもって守るだけでなく、活躍の機会というものを――例えば日本にいる私たちであったり、日本の企業、民間が一緒になって活躍の機会をつくっていくということが実はできるんです。
――そもそも他国に比べて、日本はなぜ受け入れが少ないんでしょう。
まず日本の審査基準というものが、厳しいとは言われています。同時にそれだけではなく、元々は難民を守るための難民条約というものが1951年というずっと昔にできたものなので、その基準では守られない新しい形態の迫害というものが生まれてきています。ジェンダーとか環境問題とか、そういうものは何十年も前は考えられなかったものなので、そういった人たちを国だけでは守っていけない、だからこそ、今日のテーマSDGsにもあるんですが、いろんなアクターが守っていくという、活躍の機会をつくっていくという取り組みが世界でも始まっています。
――渡部さんが代表理事をされているWELgeeではどんな取り組みをされていますか。
WELgeeでは人の中に本来ある力というものをとことん引き出していくこと、それをすでに社会にあるリソースとどんどんつないでいくことで、民間の企業と一緒になって、個性や経験、スキルが生きる仕事の場所をつくり出しています。
■渡部清花さんプロフィル
NPO法人・WELgee代表理事。渡部さんは、日本にいる難民が自分の経験や能力、意欲を生かした仕事を通じて、日本で第2の人生を築ける仕組みづくりをしている。
【the SOCIAL opinionsより】