【NNNドキュメント】「どうせ生きるなら…」児童養護施設で育ち難病で寝たきりの生活 山本栞奈さんが"笑顔"でい続ける理由 NNNセレクション
熊本市に住む山本栞奈さん。進行性の難病で寝たきりの生活を送っています。5歳から施設で育ち、介助してくれる家族はいません。でも、看護師やヘルパーが生活を支える部屋はいつもにぎやか。栞奈さんを中心に笑顔が飛び交います。笑顔でい続けるのには理由がありました。
◇◇◇
栞奈さん
「ご両親いらっしゃいますか?」
記者
「いるよ」
栞奈さん
「優しいですか?」
5歳から児童養護施設で育ち、いま介助してくれる家族はいません。
栞奈さん
「ただただ愛情が欲しかった。それだけです」
進行性の難病で寝たきりの生活を送っている熊本市の山本栞奈(かんな)さん、26歳。栞奈さんの部屋にはいつも笑顔があふれています。
栞奈さん
「汗が、ぬるぬるするんです」
栞奈さん
「みんなが笑ってくれるのが好きだから、自分も笑っていようと」
笑顔でいれば、みんながそばにいてくれるから。
栞奈さん
「何か…なんかゆきちゃん違う!」
坂口さん
「何が違う?」
栞奈さん
「何か違う!」
坂口さん
「ゆきちゃん、何が違う?」
週に3日、家を訪ねてくれるのが訪問看護師の坂口由紀さん。
坂口さん
「すごく明るい彼女なので、いつもこっちまで楽しく訪問看護に来させていただいている」
栞奈さん
「たまにイラつくじゃん」
坂口さん
「イラついたことないよ、平静です」
栞奈さん
「ゆきちゃんが親代わりですよ。ウザッとか言いますもんね、ゆきちゃんに。あっちもウザッて言うし、何でも言い合えるというか本当に」
4人きょうだいの末っ子として、兵庫県で生まれた栞奈さん。両親が離婚したあと親族がいる熊本へ。その親族も、一緒に暮らすことができず、5歳で児童養護施設に預けられました。
“いつか、きっと迎えに来てくれるはず”
栞奈さん
「人の親が玄関とかに面会に来たら、自分のところかなって見に行ったりすることはありました。誰かな、自分(の親)かなって」
友だちに恵まれていた栞奈さん。活発で体を動かすことが好きでした。
高校卒業後は陸上自衛隊に入隊。人の役に立ちたいという思いからです。でも…。
栞奈さん
「つまずいたり、足が重く感じたりとか。これは無理だと思って」
原因がわからない体調の異変。自衛隊員を続けることはできなくなりました。
“私はこの先、どうなるんだろう…”
取材を続ける同じ年の福島記者に、過去のことを打ち明けてくれることも。
栞奈さん
「もう、家庭崩壊そのものだなって感じ」
福島記者
「きょうだいもバラバラになった?」
栞奈さん
「お姉ちゃんはお母さんについて行って、上の兄はおばあちゃんのところにいて、私たち下2人だけ施設に預けられました。勝手な期待ですけど、また親がいつかこうやって、画面越しでもいいから見てくれているんじゃないかと思ったときに、たった1人の親だから生活している中で(私を)思い出す瞬間があってほしいなって思います」
今はまだ治療法がない難病。周りの人に病名を明かしていません。
大好きなみんなの笑顔が、戸惑う顔になるのを見たくないから。
Q.何をお参りするの?
栞奈さん
「きょう1日元気に過ごせますように」
2023年3月。この日は、声が出せなくなった時を考え自分の声を録音。それをもとにAIが作った栞奈さんの声で、会話ができるように準備をしていました。
でも、かなうなら、この録音を使う日が来ないでほしい。
2024年1月。
「明けましておめでとうございます」
新しい年が始まりました。きょうも栞奈さんの部屋には、笑い声が響きます。
坂口さん
「もっと目を開けて」
栞奈さん
「開かないから」
栞奈さん
「どうせ生きるなら笑っていたいじゃん、という言葉を大切にしていて、悲しいことよりうれしいことの方がずっと残るような人生にしたいなと思います」
2024年2月18日放送 NNNドキュメント’24『笑顔が守ってくれる~栞奈さんは難病と闘わない~』をダイジェスト版にしました。
◇◇◇
栞奈さん
「ご両親いらっしゃいますか?」
記者
「いるよ」
栞奈さん
「優しいですか?」
5歳から児童養護施設で育ち、いま介助してくれる家族はいません。
栞奈さん
「ただただ愛情が欲しかった。それだけです」
進行性の難病で寝たきりの生活を送っている熊本市の山本栞奈(かんな)さん、26歳。栞奈さんの部屋にはいつも笑顔があふれています。
栞奈さん
「汗が、ぬるぬるするんです」
栞奈さん
「みんなが笑ってくれるのが好きだから、自分も笑っていようと」
笑顔でいれば、みんながそばにいてくれるから。
栞奈さん
「何か…なんかゆきちゃん違う!」
坂口さん
「何が違う?」
栞奈さん
「何か違う!」
坂口さん
「ゆきちゃん、何が違う?」
週に3日、家を訪ねてくれるのが訪問看護師の坂口由紀さん。
坂口さん
「すごく明るい彼女なので、いつもこっちまで楽しく訪問看護に来させていただいている」
栞奈さん
「たまにイラつくじゃん」
坂口さん
「イラついたことないよ、平静です」
栞奈さん
「ゆきちゃんが親代わりですよ。ウザッとか言いますもんね、ゆきちゃんに。あっちもウザッて言うし、何でも言い合えるというか本当に」
4人きょうだいの末っ子として、兵庫県で生まれた栞奈さん。両親が離婚したあと親族がいる熊本へ。その親族も、一緒に暮らすことができず、5歳で児童養護施設に預けられました。
“いつか、きっと迎えに来てくれるはず”
栞奈さん
「人の親が玄関とかに面会に来たら、自分のところかなって見に行ったりすることはありました。誰かな、自分(の親)かなって」
友だちに恵まれていた栞奈さん。活発で体を動かすことが好きでした。
高校卒業後は陸上自衛隊に入隊。人の役に立ちたいという思いからです。でも…。
栞奈さん
「つまずいたり、足が重く感じたりとか。これは無理だと思って」
原因がわからない体調の異変。自衛隊員を続けることはできなくなりました。
“私はこの先、どうなるんだろう…”
取材を続ける同じ年の福島記者に、過去のことを打ち明けてくれることも。
栞奈さん
「もう、家庭崩壊そのものだなって感じ」
福島記者
「きょうだいもバラバラになった?」
栞奈さん
「お姉ちゃんはお母さんについて行って、上の兄はおばあちゃんのところにいて、私たち下2人だけ施設に預けられました。勝手な期待ですけど、また親がいつかこうやって、画面越しでもいいから見てくれているんじゃないかと思ったときに、たった1人の親だから生活している中で(私を)思い出す瞬間があってほしいなって思います」
今はまだ治療法がない難病。周りの人に病名を明かしていません。
大好きなみんなの笑顔が、戸惑う顔になるのを見たくないから。
Q.何をお参りするの?
栞奈さん
「きょう1日元気に過ごせますように」
2023年3月。この日は、声が出せなくなった時を考え自分の声を録音。それをもとにAIが作った栞奈さんの声で、会話ができるように準備をしていました。
でも、かなうなら、この録音を使う日が来ないでほしい。
2024年1月。
「明けましておめでとうございます」
新しい年が始まりました。きょうも栞奈さんの部屋には、笑い声が響きます。
坂口さん
「もっと目を開けて」
栞奈さん
「開かないから」
栞奈さん
「どうせ生きるなら笑っていたいじゃん、という言葉を大切にしていて、悲しいことよりうれしいことの方がずっと残るような人生にしたいなと思います」
2024年2月18日放送 NNNドキュメント’24『笑顔が守ってくれる~栞奈さんは難病と闘わない~』をダイジェスト版にしました。