「散財上等」バイトは「週8」 若者の“推し活”事情【バンキシャ!】
お気に入りのアイドルやアニメキャラクターなどを応援する活動“推し活”。いまやZ世代の8割以上に“推し”がいるというデータも。バンキシャ!が取材すると、生活費を削ってまで推しにお金を使うという若い人が多くいました。(バンキシャ!)
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16日、東京・豊島園駅──。
──(バンキシャ!)あ、柄がハリー・ポッターの仕様になっていますね。
映画「ハリー・ポッター」のメインキャストがラッピングされた電車が駅のホームに入ってきた。このすぐ近くにオープンしたのが『ワーナー ブラザース スタジオツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター』だ。映画「ハリー・ポッター」の屋内型施設としては世界最大規模で、その撮影の裏側を体験できるアジアで初めての施設だ。
集まったのは、多くの“ハリー・ポッター推し”。帰る人のほとんどが買い物袋をぶら下げ、それぞれ“推し活”に励んでいた。
──おいくらぐらい、きょうは?
妻(29)
「いくら使った? ヤバイかも」
夫(30)
「いくら使った? 確かにそこそこ…」
妻(29)
「4万円くらいな気がする」
大阪から来たという別の女性2人は──。
──物価とかも上がってる中で、推し活はどうですか?
大阪からの女性(32)
「推しに使うお金は惜しんだらダメです」
──これまでハリー・ポッターなどの推し活で使った金額は…。
大阪からの女性(33)
「余裕で車を買えます」
大阪からの女性(32)
「200~300万円」
いまや「推しがいる」というZ世代の女性は8割以上。(*SHIBUYA109 lab.調べ/去年5月/対象15~24歳)。バンキシャ!は、若者の「推し活」事情を取材した。
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17日、バンキシャ!は新宿にある美容院を訪ねた。
──髪がキレイな方がいますね。こっちの方もすごいキレイ。
多くの若い女性たちがヘアセットをしていた。セットを終えた17歳と13歳の2人に、髪を整えたワケを聞いた。
Knight A -騎士A- そうまくん推し(17)
「きょうは、この人たち(推しの相手)とお話ができるイベントがあって、そのために気合を入れて」
2人が推しているのは「Knight A - 騎士 A -」(ナイトエー)という歌い手グループ。動画配信サイトを中心に活動する5人組のアイドルユニットだ。イベントに向け気分を上げるため、髪を整え、推しのキャラクターグッズを持って、美容院内にある撮影スペースで2人そろって撮影。しかし、こうした推し活もタダではない。ヘアセット代は最低でも2000円。リボンなどのオプションは別料金だ。
Knight A -騎士A- そうまくん推し(17)
「(きょうは)交通費とヘアメイク代だけならぜんぜん、1万円くらい。でも、明日とか含めたらたぶん5万円ぐらいいきそう」
ところ変わって池袋。次にバンキシャ!が話を聞いたのは、この日が初対面だという女性3人。女性の一人がつけているネックレスは、推しと同じものだという。
Knight A -騎士A- しゆんくん推し(16)
「しゆんくんが12月とかのライブでつけてるのを見て、しゆんくんのイヤモニに引っかかってるのを見て、『しゆんくん引っかかってるよ』って言ったら、そのときにかまってもらえたのがうれしくて、衝動で買っちゃいました。これが13万円」
──13万円!?
推し活に使うお金は月およそ40万円。アルバイトを掛け持ちしているという。
──週何で働いてる?
Knight A -騎士A- しゆんくん推し(16)
「週7です。なんなら週8じゃないかってくらい働いてます」
節約するために、夜は電気やエアコンをつけずに過ごしているという。
一方、渋谷で出会ったのは、推しのCDを買いに来たという女性(19)。この日は1枚買っただけだというが…。
THE BOYZ推し(19)
「1番多いのだと、そんなたいしたことないんですけど、40~50枚くらい」
──たいしたことないんですか? それ?
THE BOYZ推し(19)
「ホントにすごい人は、100枚はマストって感じなので、ぜんぜん」
学校が忙しく、アルバイトは週に2日ほど。お財布事情はかなり厳しいという。
──どういうところを切り詰めて推しに回してる?
THE BOYZ推し(19)
「なんだろう…食費。量を減らしてる感じですね。ダイエットにもつながるし、いいかなみたいな。一石二鳥的な」
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若い女性を中心に熱が高まっている「推し活」だが、その需要を捉えようと新たなサービスも生まれている。原宿のある店では……。
──こちらには『推しです』と書かれてますね。ほかにも『散財上等』『もはや神』『わかりみが深い』と…
ここは推し活専門のカフェ。推しの色や香りをイメージして、オリジナルのドリンクを作ることが出来る。
バンキシャ!は、推し活で訪れた高校2年生の2人を観察することに。テーブルについた2人は、推しのプロフィールを書くオーダーシートの記入を始めた。ここに書かれた情報をもとに、店側がイメージにあったドリンクを作ってくれるのだ。
高校2年生の女性
「なんて書こうかなー、うーん。一番の魅力?」
考えること10分。
店員
「失礼します。オーダーシートは準備できましたか?」
2人
「はい」
店員
「お預かります」
持参したキャラクターのアクリルスタンドと、ぬいぐるみも準備万全。そして、ドリンクのできあがりは……。
「カワイイー!」
推しのイメージ通りにできあがったようだ。ドリンクに推しのキャラクターのアクリルスタンドを並べ、即席の写真撮影会はしばらく続いた。
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推し活にそこまで熱中する理由はなんなのか? みんなそれぞれに思いを話してくれた。
すとぷり莉犬くん推し(18)
「もともと別にたいして推しとかいなかったんですけど、莉犬くんと出会って毎日が楽しくなったし、本当にカワイイんですよ推しが、すごく。本当に応援したいなって気持ちが強くなって」
──推しの影響で変わったことはありますか?
すとぷり莉犬くん推し(18)
「ありますね。もともとすごく人と話すのが苦手だったけど、推しに出会ってからちょっと変われたなと思います。推しと話せるイベントがあるんですけど、そのときにまったく話せなかったらイヤだなと思って。ちょっとずつ練習しました」
──自分の推しに対する気持ちを相手に伝えたい?
すとぷり莉犬くん推し(18)
「あります」
──でも、いまこうやってしゃべってても、じゅうぶん伝わってきましたよ。
すとぷり莉犬くん推し(18)
「推しのおかげです」
推しのおかげで自分が変われたという。そして、原宿で出会った別の女性2人は……。
──あなたにとって「推し」はどういう存在ですか?
にじさんじの葛葉さん推し(22)
「えー、もう『にじさんじ』が生きがいです。推しがいると人生が楽しい。感謝してるからこそ応援したいなって毎日思ってます」
SEVENTEEN推し(22)
「何かをすごく好きになれることとかって、私もそうだし、好きになってる友達の話とか聞いててもすごく幸せになれるので。今こういう文化ができて、みんなが好きって大声で言えるような世の中になったから、それはいいことなんじゃないかなって思っています」
(*6月18日放送『真相報道バンキシャ!』より)