新潟の古町芸妓 技と心を伝え続ける女性
ここは京都ではなく、新潟・古町。芸妓さんのいる街。その伝統をつなごうとする女性。
「新潟には古町芸妓というものがある、イコール市山流がある。それは守っていかないといけない」
市山流の家元、市山七十世さん。市山流は200年以上にわたり、日本舞踊の技と心を伝え続けています。
市山さん「この世界、もう本当に年齢が上の方が多くて若い人が少ない。それが本当に課題」
七十世さんのもとに2人の新人がやってきました。着物の勉強をしていた宮田ゆり子さん。
宮田さん「着物の専門学校に通っているんですけれども、それに関連した職につきたいなとは思っていました」
京都で暮らすうちに舞妓さんに憧れを抱くようになった遠山綾音さん。
遠山さん「人前に出る仕事がいいなと思って」
そんな2人の初稽古。
市山さん「踊りとかあれは?やったことは?」
遠山さん「ないです」
宮田さん「全くないです…」
まずは、お辞儀の仕方に…
市山さん「右手が上!」
そして、歩の進め方。
市山さん「縦線と横線になってます?」
3か月後には“お披露目”の初舞台がやってきます。
市山さん「はい、こっち向いて!ほら手!足が出ろ!だからこうやると同時に右足も出なさい」
もうすぐ70歳を迎える七十世さん。1人でも多くの芸妓を育てたい…五代目の祖母、六代目の母とつないできた伝統の流派を次の世代へ、そんな覚悟があります。
初稽古からわずか3か月。2人は初舞台を立派に終えました。
遠山さん「お姉さん方、お師匠さん方がとても優しくて、頑張っていけそうだなと思っています」
宮田さん「お座敷に呼びたいなと思ってくださるような芸妓さんになりたいと思います」
古町に、新たなつぼみが開き始めました。
七十世さんは母が名乗っていた七十郎を継ぎました。
市山さん「七十郎という名前は七代続いてきている市山流の大切な名前でございますので、この度まだまだ未熟でございますが、継がせていただくことにいたしました」
先代の母が亡くなり12年目の決意。
市山さん「何かちょっと(母が)遠くへいってしまうんじゃないかというような感じがあるので。いつもこの辺にいてくれた人が…」
市山さん「(Q:やっぱり七十郎は母であって?)私の中ではそうですね」
市山さん「(天国の母には)『もう本当にそろそろ大人になれ』と言われていると思いますよ。『もうそろそろ離れろ!』って…」
自らが弟子たちの母となり芸妓の華をつないでいきます。
※2018年9月、テレビ新潟で制作したものをリメイク
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】