桐谷美玲キャスター取材 “赤ちゃん”食堂 助産院で離乳食&子育て相談も…一息つける居場所へ『every.特集』
2024年12月、桐谷美玲キャスターが訪れたのは、神奈川県寒川町にある助産院。
桐谷美玲キャスター
「こんにちは~」
ママたち
「こんにちは~」
生後7か月から1歳3か月の子どもを育てる7組の親子が集まっていました。
桐谷キャスター
「こっち来る?いいですか?」
ママ
「ぜひ」
桐谷キャスター
「かわいい~」
この日、行われていたのは、離乳食の無料提供です。
赤ちゃん食堂スタッフ
「みなさんご飯にしますよ~」
その名も、子ども食堂ならぬ、“赤ちゃん”食堂。月に2回開かれていて、離乳食を食べる赤ちゃんとそのママであれば誰でも参加することができます。(先着順で人数制限あり)
いつから始めたらいいのかわからないなど、“離乳食”作りに悩む親たちの声を受けて、2022年4月、助産師の菊地さんを中心に、保育士や看護師の資格をもつスタッフなどでスタートしました。
NPO法人 赤ちゃん食堂プロジェクトままな 菊地 愛美 代表理事
「まずは1食代わるということが大事だと思った」
“1食だけでもラクに”
私も配膳のお手伝いをさせてもらいました。
桐谷キャスター
「はーい、ご飯です」
ママ
「ありがとうございます」
桐谷キャスター
「どうぞ、ご飯です」
「いいね、食べたいね」
この日のメインは鶏肉や野菜に塩とお酢を加えて煮込んだもの。すりつぶしたり刻んだり、月齢に合わせて提供しています。さらに…
菊地 代表理事
「卵、大丈夫ですか?みんな大丈夫?」
「記入漏れとかもあるので、口頭でも聞くようにしています」
親たちに事前に赤ちゃんのアレルギーの有無を記入してもらい、何度も確認して作られています。
この場所で食べることでこんなメリットも。
桐谷キャスター
「お!黙々と食べている!」
1歳1か月の子を育てるママ
「きょう初めて鶏肉の骨をもらって、すごく気に入ったみたいで、よく食べています」
桐谷キャスター
「おいしいんだ~。新しい発見ですね。手羽元好きだと」
赤ちゃんが食べられる新たな食材がみつかるなど、離乳食のレパートリーが広がるきっかけにもなっているのです。ほかにも…
菊地 代表理事
「ちょっと食べ具合もみてみようね。(生後)8か月だと口をもぐもぐできていければいいので」
赤ちゃんが「なかなか食べてくれない」といった悩みにも、助産師や保育士などプロたちがどう対応すべきかアドバイスしてくれます。
そして、“自分のご飯をゆっくり食べられない”というママのために。
赤ちゃん食堂スタッフ
「ママたち、ご飯にしましょう」
ママたち
「はーい」
赤ちゃんのご飯が終わったあとに、大人のご飯の時間。1人400円で、食べることができるんです。
桐谷キャスター
「すごい!こんなに品数あるんですか!これはうれしいですね」
できる限り品数を増やした野菜たっぷりのメニュー。
桐谷キャスター
「授乳中めちゃくちゃおなか空くんですよ。全部(子どもに栄養を)取られているから」
ママの食事中は、スタッフが赤ちゃんの面倒をみてくれます。
桐谷キャスター
「やっとですね」
ママたち
「やっと一息です・・・」
「はぁ~…」
桐谷キャスター
「お疲れさまです」
ママたち
「あはははは」
「身にしみます」
桐谷キャスター
「おうちだとこんなにゆっくりご飯食べられないんじゃないですか」
肥沼さん
「そうですね。全然作ることもできないので、子どもを置いて、みてもらいながら、あたたかいご飯をゆっくり食べられるっていうのは本当にありがたいです」
2歳11か月の長女と8か月の二女を育てる肥沼絵美子さん。家での普段の様子はというと・・・
長女 杏柚(あんず)ちゃん
「もう食べない」
肥沼さん
「なんで?」
杏柚ちゃん
「きのうの残り…」
肥沼さん
「ちがいまーす。きのうお肉だったじゃん」
お昼時、2人の育児に追われ、食事をとる暇もありません。
「家事1つにしても夕飯の支度1つにしても、足止めくらうことがあるので普通より倍以上疲れる気がする」
さらにこの日は・・・
保育園に通う長女の杏柚ちゃんが冬休み明けで行くのをしぶり、お休みしていました。
肥沼さん
「行けるかな?あした保育園」
杏柚ちゃん
「ううん」
「行くんだよ保育園、行こ?」
「ううん」
現在は育休中の肥沼さん。
「仕事休んでいて家にいると社会に自分がいないような気がして・・・認められていないような気がして、さみしい気持ちになってしまう」
子どもと向き合い続ける生活の中で感じる“孤独”。
桐谷キャスター
「たまっていっちゃうと、どんどんなんか落ち込んでいく感じありません?私はすごくあったんですよ」
ママたち
「あります!あります!」
桐谷キャスター
「月齢小さいとき結構手が離せなくて、ずっと抱っこだったし、何しても泣いていたので、本当にどうしたらいいかわからなくて…かわいいんだけど、かわいいと思えないみたいな」
ママたち
「わかります」
赤ちゃん食堂は、こうした“孤独”や“悩み”を共有し、息抜きができる居場所にもなっていました。
2児を育てる 肥沼さん
「いつも言うこと聞かなくて怒ってばっかりだけど、ここで気持ちがリフレッシュされたら、家に帰っておだやかに接することができる。優しくできる」
赤ちゃん食堂でたくさんのママと関わってきた菊地さんは…
「“孤独感”って、どうしても子どもやパパに向かったりするので、こういう地域の場所、やっぱり必要だなと思って」
「先輩たちの子育て経験を聞いたりとか、そういう場所にしたいなと思って」
桐谷キャスター
「まさに、そういうコミュニティーになっていますよね」
菊地さん
「そうですね、なんか一見こう、みんな元気そうに見えるんですけど、初回の扉を開けるとき(表情が)結構重々しい。でも、何回か来るうちに本当に表情も明るくなってくるし」
この場所に来られない人に向けては、こんな取り組みも。
菊地さん
「支援の物資とかを月に2回配送を行っていて」
赤ちゃんを育てる生活困窮世帯に向け、ミルクやオムツ、リユースの洋服などを支援しています。物資は、企業や個人からの寄付などでまかなわれています。
菊地さん
「この方はパンツのオムツのLサイズを入れてもらって」
桐谷キャスター
「Lサイズ、どれでもいいんですか?」
菊地さん
「パンツなので・・・これがテープで、パンツですね」
産後うつで仕事ができなくなってしまった夫婦や、年子の子どもがいてオムツを買えないほど経済的に困窮したシングルマザーなど、現在、8世帯の支援をしているといいます。
桐谷キャスター
「本当に…オムツとかミルクとかって、ないと本当に困るものだからやっぱり何か手を差し伸べたいし、一緒に頑張ろうよ、頑張っていこうよという気持ちにはすごくなりますね」
菊地さん
「産後の孤立を取りこぼしがないようにというところでは、ここに来られない人も含めて支援をしていきたいなというのはあります」
“子育ては1人じゃない”と伝えるために。“赤ちゃん食堂”の居場所づくりは続いています。
(2025年1月15日『news every.』特集より)