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すぐにも受け入れ可 移動や生活費サポートも… 命守る「広域避難」進まぬ現状も

2024年1月15日 22:03
すぐにも受け入れ可 移動や生活費サポートも… 命守る「広域避難」進まぬ現状も
能登半島地震の被災地では、衛生状態が悪化し、感染症が広がっている避難所もあります。特に高齢者や持病のある人などは、長引く避難生活が命を脅かす事態にもなりかねず、生活環境が整った被災地の外への「広域避難」の必要性が指摘されています。独自に支援を表明している施設や自治体では、今すぐにでも被災者を受け入れられるといいますが、実際の避難にはつながっていないケースも見られます。

■介護必要な高齢者など無償で施設へ

地震の3日後、介護施設を運営する「さわやか倶楽部」は、被災した高齢者を全国120か所の施設で無償で受け入れると発表しました。対象は要介護認定を受けた、おおむね65歳以上の高齢者で、部屋代や食事代は無償(介護保険料の利用者負担分のみ実費)、希望者が今いる場所に自社の車で迎えに行き、入居する施設まで送り届けます。

この会社では東日本大震災や熊本地震などでも被災者を受け入れ、被災地周辺だけでなく、家族が住む地域の施設に入所した人もいました。長い人では亡くなるまで7~8年、施設にいた人もいるということです。

通常、要請は被災者や行政から来ますが、能登半島地震から2週間近くたった時点でも要請はゼロ。今すぐにでも被災者を受け入れられるにもかかわらず、支援につながっていないのは、こうした支援の存在が被災者に広く知られていないことが一因かもしれないといいます。(問い合わせ ウチヤマホールディングス 093-551-5555)

■ホテルや民宿が無償・格安で部屋提供

自宅に住めず避難所で生活している被災者に、暖かい場所で安心して過ごしてもらいたいと、無償や格安で部屋を提供するホテルなども続々と出てきています。宿泊施設を運営する「こみんぐる」は石川、富山、福井で、こうしたホテルなどを募集し、空室情報などをまとめたサイトを公開しています。(被災者受け入れ宿泊施設一覧 https://notoearthquake.hp.peraichi.com/

■避難の交通手段や生活費支援も

被災者に家具家電付きの府営住宅や民間賃貸住宅を無償で貸し出す大阪府。能登半島地震では、初めて避難のための交通手段も支援します。具体的には、避難を希望する人の金沢駅までの移動をサポート。それぞれの状況に応じて、タクシーを手配したり、現地入りしている職員の車で迎えに行ったりするということです。避難についての問い合わせは11日時点で58件寄せられていて、府は寒い中で避難している被災者の生活をできる限り支援したいとしています。(問い合わせ 大阪府危機管理室災害対策グループ 06-6944-6021)

また鳥取県では、県内に1か月以上避難する被災者に、当面の生活費として1世帯30万円、単身者には15万円を支給します。(親戚や知人宅、ホームステイなどの場合1世帯20万円、単身者10万円)。さらに子供の転入学支援や、避難先での就職支援も提供していて、問い合わせが数件寄せられているということです。

県では、こうした支援の内容が被災者に伝わるよう、リーフレットを作成。被災地に派遣される職員が持参し、現地で配るなど、必要な人に支援の情報が行き届くよう努めています。(鳥取県被災者受入支援総合相談窓口 0857-26-7900)

被災地は今、一年で最も寒い時期を電気や水、物資などが十分にない状態で迎えています。「再び帰れるだろうか」という不安もある中で、住み慣れた場所を離れるという判断は容易ではありませんが、判断の遅れが命に関わる可能性も十分にあり得ます。余震も続く中、大切な命を守るためにも、一人でも多くの人が一刻も早く、安心安全な生活環境に身を置く「広域避難」も選択の一つと言えます。被災された多くの人々に、こうした情報が届く態勢づくりも今、求められます。

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