入院の小児患者 オミクロン株流行期「発熱」や「けいれん」多く
新型コロナウイルスのデルタ株とオミクロン株のそれぞれの流行期に、新型コロナで入院した小児患者を比較したところ、オミクロン株の流行期は「発熱」や「けいれん」が多かったことが分かりました。また、ワクチンを2回接種した患者で、酸素投与が必要となるなど重症化した患者はいなかったということです。
東京・世田谷区にある国立成育医療研究センターなどが行った調査は、新型コロナウイルスのデルタ株とオミクロン株の流行期の小児患者の臨床的な特徴などを比較したものです。
去年8月から12月までをデルタ株の流行期、ことし1月から3月をオミクロン株の流行期として、それぞれの期間の18歳未満のコロナで入院した小児患者あわせて847人が調査の対象となっています。
これは、現在流行中のオミクロン株のBA.5がまだ存在しなかった時期に行われた調査で、患者それぞれからデルタ株やオミクロン株に感染していたと証明されているわけではなく、それぞれの株が国内の主流な株だった時期の患者を比較したものです。
調査の結果、入院患者の年齢の中央値は、デルタ株の流行期は8歳、オミクロン株の流行期は6歳で、オミクロン株の流行期の方が、患者が若年化している傾向にありました。
症状をみてみると、オミクロン株の流行期は、デルタ株の流行期と比べると、2歳から12歳で、発熱やけいれんが、13歳以上では、のどの痛みが多かったことが分かりました。
一方、6歳以上の患者の嗅覚・味覚障害者オミクロン株の流行期に少なかったということです。
ワクチンについては、接種を2回終えていたのは、874人のうち50人でした。これは全体の5.9%にあたります。この50人はいずれも軽症でした。
また、酸素投与、集中治療室入院、人工呼吸管理のいずれかが必要となった「より重症」と考えられる患者は43人、ワクチンを2回接種していた人はいませんでした。
これについて、調査の発表者は「ワクチン接種が子ども達を重症化から守る方向に働いている可能性があることを示唆していると考えられる」と説明しています。
感染経路については、学校など教育関連施設での感染が考えられるのが、デルタ株の流行期では10.0%だったのに対し、オミクロン株の流行期では17.2%と多くありました。
この結果を受けて、調査の発表者は「発熱やけいれんが増えていたことは、小児の新型コロナウイルス感染の診断を考える上で重要な情報と考えられます。また小児新型コロナワクチン接種者自体が少ない時期の研究なので、限界はありますが、ワクチン接種が子ども達を新型コロナウイルス感染症の重症化から守る方向に働いている可能性を示唆している結果であったことは重要な結果と考えられます」と述べています。