“男性警官の育休”後押し「とって当たり前の雰囲気作りを…」埼玉県警の新制度とは?
来月から、男性が育児休業をとりやすくするために新しい法律が施行され、企業は従業員に取得の意思を確認することが義務づけられます。こうした中、意外な職場で取得率を上げるための取り組みが行われていました。
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去年11月、埼玉県警の草加警察署で話し込む2人の警察官。生活安全課でネット上の詐欺などを担当する逆井信裕巡査部長と当時、地域課でパトカーに乗っていた磯貝佳祐巡査部長です。
行われていたのは異動の引き継ぎではありません。逆井さんが2か月間の育児休業を取得するため、磯貝さんが暫定的に業務を引き継いだのです。
6年前まで埼玉県警には育休をとった男性警察官は1人もいませんでした。その後、取得率は上がったものの、住民と直接接する所轄の署ではあがらず。
このため、育休を取りやすくする制度が去年10月から導入され、逆井さんはこれを利用したのです。
制度を担当した・小柳謙太郎さん
「男が仕事をする、女性が家事、育児をするという無意識の偏見がまだ残っているのが現状だと思う」
■制度の仕組み
あらかじめ、パトカーでの職務質問が専門の自動車警ら隊に多めの人員を配置します。草加署の生活安全課では逆井さんが抜け、地域課の磯貝さんが入っています。さらに自動車警ら隊から地域課に派遣され仕事に支障がないようにするのです。
こうした仕組みを導入したのは埼玉県警が全国の警察で初めてです。
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育休中の逆井さんのご自宅にお邪魔すると、長女の結朱ちゃんをあやしていました。
逆井さん
「いまは(仕事が)どうなってるかなとけっこう頭によぎることはあるが、この期間は(育児を)勉強する期間だと思って」
「(Q昇進のことは気になったりしない?)正直気になるは気になるが、よく言えば開き直って、いただける制度になったので、そういう時代なのでいただきましたと言おうかなと思ってる」
埼玉県警では、逆井さんを含め新制度で17人が育休を取得しました。
その頃、草加署では生活安全課に応援に入った磯貝さんの姿が。
磯貝さん
「基本的には今回のような転用勤務とかがないと、こういった経験できないので非常に勉強になるかなと思う」
さらに、磯貝さんの代わりには自動車警ら隊員が応援に。ペアとなる地域課員は捜査手法を学べるメリットがあるといいます。
草加署地域課(当時)熊谷泰輔さん
「積極的に職務質問をやってる姿を見て、とても勉強になっている」
制度を担当した・小柳謙太郎さん
「男性の育休はとって当たり前なんだという雰囲気作りは引き続き継続して、今回の制度を利用してどんどん遠慮なく育休をとっていければいい」「魅力ある職場作りで必要なのは、ワークライフバランスをとることが重要だと思う。さらに色々な取り組みを考えていきたい」