ジャニーズ問題“特別チーム”が会見――「加害行為あった前提で」検証へ 網羅的調査ナシ…元Jr.「規模が小さくされるのでは」
ジャニーズ事務所の性加害問題を巡り、外部専門家3人による再発防止特別チームが12日、会見を開きました。加害行為の存在を前提に、事務所幹部の問題点も検証する一方、網羅的調査はしないと表明しました。元ジャニーズJr.はどう受け止めたのでしょうか?
■前検事総長ら外部専門家3人で構成
ジャニー喜多川前社長の性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」が12日、会見を開きました。
前検事総長の林眞琴座長は「私たちチームは過去の加害行為の存在を前提として、ジャニーズ事務所の過去の対応にどのような問題があったか、これを厳正に検証する」と述べました。
トップの林座長、精神科医の飛鳥井望さん、臨床心理の研究者という外部専門家 3 人によるチームです。
■「現役幹部らへのヒアリングは必須」
5月14日公開の動画で、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長は「何よりもまず被害を訴えられている方々に対して、深く深くおわび申し上げます」と謝罪。同月、相談窓口の開設などの対応策を発表しましたが、そのうちの1つが「再発防止特別チーム」です。
チームは、性加害があったことを前提に検証を行うと表明しました。その上で、「現役幹部やその周辺に対するヒアリングは必須だ」としています。
飛鳥井さんは「被害者の心を置き去りにしたままで(事務所の)信用回復はあり得ません」と語りました。
――現経営陣の責任の有無について明らかにする考えは?
林座長
「私たちは法的な責任を認定するチームではございません。『責任』を『問題点』と置き換えてご質問に答えるとすれば、ジャニーズ事務所の幹部の問題点というものは、当然それは検証の中の一番重要な、検証事項の1つだと(考えています)」
■事務所側が性加害を否定した場合は?
ジュリー社長は性加害について「知らなかった」としています。
――事務所に「事実認定」提案は?
林座長
「(仮に)事務所側が認めなかったとしても、そのことによって私たちの事実認定が左右されるものではありません。再発防止策をまとめて、それを事務所側に提言いたします」
――申告していないタレントの中にも被害者がいる可能性があるが、どれくらいの規模で調査を行う?
林座長
「現在被害を自主的に申告されておられる方でご協力がいただける場合には、その方の心理的な負担を十分に考慮した上で、その方々のお話をぜひ聞かせていただきたい」
■網羅的な調査は「賛成できない」
現役タレントを含めた、事務所に所属経験のある人への聞き取りについて、心理的負担などを考慮する必要があるため、チームは「網羅的な調査はしない」と明らかにしました。
――数人の被害と何百人の被害ではかなり違うと思いますが?
飛鳥井さん
「網羅的調査はいろいろ被害者の方にとって負担だろうということで、賛成できないという立場は変わりません。複数の被害者の方の申し立てによって、被害者の数は相当数に上るだろうということも確かなんだろうと」
■会見受け…二本樹さんの期待と懸念
第三者による調査が始まりました。この日の会見について、被害を訴える元ジャニーズ Jr.の二本樹顕理さん(39)に受け止めを聞きました。
「『性加害の事実があったという前提で調査を続けていく』、そうしたコメントは前向きにとらえることができました。(性加害を)周りの人間も知っていたと思うので、きちんと踏み込んでしっかりと調査していただきたいですね」
一方、網羅的な調査をしないという方針について二本樹さんは「対象者のプライバシーとかも非常に重要な部分だとは思うんですけども、規模が小さくされてしまうのではないかという懸念はあります」と明かしました。
その上で「(事務所には)全く異なるものとなって再スタートを切ってほしいなと思っていますね」と話しました。
■橋田さんとカウアンさんの思いは?
12日、虐待問題に関する自民党のヒアリングに参加した橋田康さん(37)とカウアン・オカモトさん(27)。報道陣の取材に応じました。
――特別チームに何を期待しますか?
橋田さん
「プライバシーと尊厳が守られる調査の仕方だったり、進めていただけたらなとは思います。それは心から願っています」
――会見の受け止めは?
カウアンさん
「近日中にヒアリングに参加させていただくので、どのような体制でどのようにヒアリングしたりとか話を直接聞くので、そこで感触を見たいなと」
再発防止特別チームは、スケジュールは決まっていないものの、最終的な検証結果と再発防止策の提言は公表する方針だということです。
(6月12日『news zero』より)