大学病院医師の自己研鑽は労働か 教育や研究は労働時間と厚労省通知
医師の長時間労働が問題になる中、医師が最新の知識を得るために論文を読んだり、学会発表の準備をしたりするなどの自己研鑽をどこまで労働時間として扱うかが課題となっています。厚生労働省は、自己研鑽に関する通知の一部を改正し、大学病院に勤務する医師について、学生の教育や研究は、本来業務だとして労働時間に含めると明示しました。
ことし4月からは「医師の働き方改革」が行われることが決まっていて、労働基準法が定める、勤務医の「時間外労働」の上限が今よりも下がります。
勤務医が新たな知識を得るために論文を読む、学会発表の準備をするといった行為=「自己研鑽」のうち、上司の指示がない場合は、労働時間としてカウントしないなどとされてきました。
しかし、定義が曖昧なため、必要な研究を行っても「自己研鑽」扱いになるなど、勤務医の労働時間の過少申告につながっているとの指摘や、このまま、ことし4月の「働き方改革」が実行されると長時間労働の実態がますます見えなくなるという懸念が医療現場や過労死した医師の家族らからあがっています。また大学病院で、医師が所定時間外に行う学生の指導が、業務か自己研鑽か議論になるなどしています。
こうしたことをうけ、厚労省は、自己研鑽に関する通知の一部を今月15日付で改正しました。具体的には、2019年の通知にある、大学病院に勤務する医師の「診療等の本来業務」について、「等」の中に、教育や研究が含まれることが明示されました。そして、今まで盛り込まれていなかった
・学生の試験問題の作成、採点
・学生の論文作成の指導など
を労働時間として扱うと具体的に示されました。
その上で、こうした教育・研究に直接関係のある自己研鑽に関しても、労働時間内に、指示された場所で行う場合は労働時間とみなし、上司の明示・黙示の指示で行う場合は、所定労働時間外でも労働時間とみなすと説明しています。