×

行き場失う外国人労働者…支援男性に密着

2020年11月14日 21:20
行き場失う外国人労働者…支援男性に密着

新型コロナウイルスの感染拡大は、去年新たに設けられた外国人労働者の在留資格「特定技能」にも大きな影響を与えています。仕事が減ったり、来日できなくなったりしている外国人労働者を支援する男性に密着しました。

     ◇◇◇◇◇

今年3月、『大阪王将・新宿店』で、慣れた手つきでチャーハンを炒めるベトナム人のトゥアンさん。トゥアンさんは、去年4月に始まった新資格「特定技能」で働く外国人です。

一定の日本語能力と技能があれば最長5年の在留を認めるこの制度。トゥアンさんは3年前に来日し、専門学校を卒業後、日本語と外食業の試験に合格。この「特定技能」の在留資格を得ました。

ところが、トゥアンさんにも予想もしなかった“コロナ”が直撃したのです。

トゥアンさん(25)「最近はコロナでお客様(の数)は下がって。コロナ…怖いです」

トゥアンさんの不安の声を聞いていたのは、特定技能外国人の登録支援機関『YDNホールディングス』の社長・小林竜さん。コロナで特定技能の状況は2月以降、がらりと変わったといいます。

小林竜社長「もうほぼ(求人)ゼロですね。仕事が切られたりとか、そういったケースも多くなったと話を聞いてます」

さらに──

小林竜社長「(来日の情報が)出ては消え、出ては消え。まだ現実的には来日できておりません」

     ◇◇◇◇◇

来日できなくなった人の思いを聞きました。

トゥイさん(23)「3年間日本で働いていました。日本の人たちは親切で、だからまた日本へ行きたいです」「農業をします」

今年1月から特定技能で働く予定だったベトナム人のトゥイさん。彼女が働く予定だった千葉市にある農家には、先月5日、小林さんの姿が。ビニールハウスの中にいたのは、ベトナム人の外国人技能実習生です。

11人の技能実習生が働く農園『ベジフルファーム』で、来日できなくなったトゥイさんも働く予定でした。

小林竜社長「働く環境はやはり彼女たち(トゥイさんら)にとっては大切な条件なので、こうして現場を見るととても安心します」

小松菜の収穫に精を出す2人に、トゥイさんの姿を重ねる小林さん。政府は入国制限措置を緩和する方針を示していて、一刻も早くトゥイさんが日本に来られるように、小林さんは、農家の社長にある書類を用意していました。

     ◇◇◇◇◇

小林竜社長「来日してから14日間まずはきちんと隔離」

この書類は、コロナ以降、新たに中長期で在留する外国人に対するルールを定めたもので、入国後14日間の自宅待機などが義務づけられています。その手続きの説明に訪れていたのです。

小林竜社長「働くのを待ちわびている人材にとっては、今日書類をいただいたような、来日を少しでも早くする手続きをすることが非常に重要」

コロナ禍の今、国内に在留する人たちは不安を抱え、来日できなくなった人は全く先が見通せない状況です。

小林竜社長「支援をすることで、胸襟を開いてですね、彼らが寄り添ってくれるようになると思います」

コロナ禍で大変な状況に置かれた「特定技能」。しかし、経済が回復した将来、人材獲得競争はますます激化します。外国人から「日本で働きたい」と選んでもらえる体制づくりが重要です。