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LGBTQイベントの地域差…東京と福島で体験した直川アナがきいた「福島の現在」「目標」は──

2025年2月22日 8:00
LGBTQイベントの地域差…東京と福島で体験した直川アナがきいた「福島の現在」「目標」は──
「来世は女性アナウンサーになりたい、男性アナウンサー」こと、福島中央テレビの直川貴博アナウンサーとトーク。東京と福島で性的マイノリティーイベントを見てきた直川アナに、地方で当事者の居場所を守り続ける難しさなどをききました。

■「これが福島の現在地」ふくしまレインボーマーチに参加して…

報道局ジェンダー班 白川大介プロデューサー:
直川さんは福島でいろんな当事者の方の声をきいてきたんですよね?

福島中央テレビ 直川貴博アナウンサー:
白川さんにも去年来ていただいた「ふくしまレインボーマーチ」で、当事者やアライで参加された方の様々なお声を聞いてきたんですけど、「まだこれが福島の現在地か」って思った声がありました。通りすがりに知人に会いまして。

※アライ(Ally):性的マイノリティーの人たちを理解し、差別や偏見をなくすことを目指して支援する人たちのこと

白川:直川さんは取材としてカメラも回していて、僕も横にいました。

直川:その知人が、「これ何してるんですか?」と。

白川:つまり、開催も知らないし、見ても何のイベントか伝わっていなかったんですね。

直川:皆さん分かりやすいレインボーフラッグをはじめとしたアイテムを身に着けてましたけど、まだこのイベントの意味が伝わるほどの市民権を得ていないんだなっていうのを感じましたね。

白川:福島って広いじゃないですか、結構。しかも一極集中じゃなくて、大きい規模の都市が複数ありますよね。それぞれの都市の当事者の人たちが自分の街のフラッグみたいなものを背負って集まっていて、それぞれのスピーチをしてる時に、こういう顔の見える距離での連帯ってすてきだな、応援したいなって思いましたけどね。

直川:うれしい!白川さんそう見てくださってたんですね。

■関係者の思いは?福島大学の前川直哉准教授にきいた

白川:今回、ふくしまレインボーマーチの関係者の方に直川さんが取材をしてくれたということで。

直川:福島大学で社会学が専門の前川直哉准教授にききました。

白川:朝ドラの性的マイノリティー表現についても監修された前川さんですね。ふくしまレインボーマーチを開催しているメンバーのお1人でもいらっしゃるんですよね。

直川:前川さん自身も性的マイノリティーということを公言されていて、毎回お話しするたびに気づきをいただけるんです。「東京レインボープライドとふくしまレインボーマーチ、それぞれに参加されて、その違いをどういうふうに分析されますか?」と伺うと「人口規模で比べてほしい」と。数日間で何万人が来る東京と比べて、福島はいい意味でコンパクトで1日開催なんですね。東京は全国から人が集まる街で、比べる必要はないと。人口規模で計算してみると、地方で行われているレインボーマーチでも「すごい」と評価できるんじゃないかとおっしゃっていました。

■「続ける」ために──ボランティアから行政、企業へ

直川:また、「今後の課題はどうですか?」と伺ったら、福島の場合はボランティアで構成されている。

白川:運営がまるごと?

直川:そうなんです。みなさんの善意で成り立っている。自発的に企画・運営をしているのは素晴らしいと。だけど、東京みたいに企業が参加して、また、札幌とかだと行政が参加して、市長が来ています。いろんな方向からのアクセスがあって、規模だけじゃなくて、もっと大きくこの輪が広がるような、いいものになっていってほしいなと話していました。

白川:協力する団体が増えることによって、より知られていく。それは必ずしも性的マイノリティーの人が知るだけじゃなくて、「自分は関係ない」と思っている人も、知ることによって優しくなれる部分はあるから、大事ですよね。

直川:「何をこれから目標にしていきますか?」という話をききますと、「続けること」っておっしゃったんですね。セクシュアルマイノリティ ーをめぐる問題に関しては、長期戦になると先生は分析されているし、私自身もそう思うんです。継続することで、参加人数をいかに増やして盛り上げていくか、また企業や行政の参加をどのように促していくのかを考えていきたいとおっしゃっていました。

白川:いろいろな許可申請だったりとか、グッズを作ったりとか、広報として対応したりとかっていうことを全部ボランティアでやっているんだと思うと、継続するだけでも大変だし、すごいことだと思います。

■東京は世代交代…今年から“プライド月間”の6月開催に

白川:東京レインボープライドも、今、変化の時期だということです。お話を伺ったのは、東京レインボープライドの中のユースチームYouthProjectの代表、中島幸乃さんです。中島さんによりますと、去年10月、東京レインボープライドの運営が今まで中心だった40代メンバーから30代メンバーに世代交代したそうなんですね。

イベントの時期も、今までの4月から6月に移して、性的マイノリティーはもちろんインターセクショナリティーにも目を向けると。インターセクショナリティーは「交差性」と訳されることが多いんですけど、つまり、いろいろなマイノリティーのことを、性的マイノリティー、障害のある方…と個別に考えるのではなくて、包括的に捉えていこうという概念です。

例えば性的マイノリティーの人たちが職を得たり継続したりすることに困難があるため、貧困というマイノリティー性も生まれてしまうといったように、関連し合っているからです。

例年行っていた代々木公園のイベントや渋谷の街を歩くパレードに新しいイベントも加えて、6月をプライド月間として盛り上げていくそうです。中島さんが特に関わっているのが、10代20代のユースによるユースのためのイベント「Youth Pride 2025」です。中島さんは自らも当事者なので、イベントを通じて全国のユースの交流の場、居場所を作り、ユースの知りたい情報を提供したいとお話しされていました。

もし誰にも相談できず悩んでいる人は、「東京レインボープライド YouthProject」で調べてみてくださいということも言っていただきました。

直川:セクシュアルマイノリティーのことに全くの知識がなかったとしても、楽しみに来ることがまず入り口になるようなイベントじゃないですか。大手飲料メーカーの飲み物はタダで飲めるし。笑

白川:いろんなものが配られていますよね。代々木公園のイベントには私たちもにじモと一緒に遊びに行っていますし、今年もきっとそうなるかなと思いますので、ぜひみなさん来ていただけたらと思います。

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日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?

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最終更新日:2025年2月22日 8:01