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引き継ぐ人がいない…“無縁墓”増加 寺や自治体が苦悩 新たな墓参り? “メタバース霊園”開発へ

2023年9月26日 19:04
引き継ぐ人がいない…“無縁墓”増加 寺や自治体が苦悩 新たな墓参り? “メタバース霊園”開発へ

26日までが秋のお彼岸ですが、引き継ぐ人がいなくなり放置された“無縁墓”が増え、寺や自治体が頭を悩ませています。影響の深刻化が懸念される中、仮想空間を使うなど新たなお墓参りの形も模索されています。

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26日、神奈川・相模原市の峰山霊園には墓参りに訪れる人たちの姿がありました。

掃除やお花を供え先祖を供養する一方で、手入れがされていないような墓もありました。管理する親族らがいない“無縁墓”とされる墓です。市が管理する2つの霊園で合わせて20件が荒れた状態に…。対応に苦慮しているといいます。

相模原市・公園課 石田真也課長
「まず、となりの方に影響した草がいってしまうということで迷惑かかってしまいますし、管理料が市の方には入ってこないので、霊園自体の管理運営、適正な管理が滞ってしまうと」

通知を出して連絡を求めることや、親族を調べるなどの対応をとっていますが、数年かかる場合もあるといいます。さらに親族らがみつからない場合、墓を元に戻す費用などを市が負担せざるを得ないということです。

自治体を悩ませる“無縁墓”。今月、総務省が発表した墓地行政に関する調査によると、公営墓地を運営する全国の自治体の約58%が“無縁墓”をかかえていることが明らかになりました。

※公営墓地・納骨堂の無縁墓など58.2%(765中445市町村)

影響の深刻化が懸念されています。

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愛知・豊田市の妙楽寺では、2万基以上の墓石や地蔵が敷地内に整然と並べられています。

妙楽寺 住職・鈴木政彦さん
「これ全部無縁仏になりますね」

40年以上前から“無縁墓”のような行き場の失った墓などを受け入れていますが、近年、その数が増えてきているといいます。

まだ余裕はあるといいますが、墓石などの受け入れについて鈴木さんは「私どものお寺だけで担うというのは無理です。私どものやっている取り組みを(他の寺や市にも)かなうなら、やっていっていただきたい」

お墓について街の人は――

20代
「(先祖の墓を)守っていかなきゃなとは強く思いますね」

20代
「毎年、山形に帰ってるんですけど、そっちにわざわざ帰るのが大変だと思うので、『墓じまい』そういうのも考えた方がいいのかな」

10代
「(自分は)海とかに骨を流す、ああいうのがいいのかなって思ったり」

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最新技術を利用した新たなサービスも模索されています。冠婚葬祭業の会社が、仮想空間につくられた“メタバース霊園”を開発しています。お墓がなくてもパソコンやスマホがあれば、どこからでも自分の分身(=アバター)として墓参りができるサービスです。

遺骨は別の場所で供養する必要がありますが、墓石の費用や管理などが不要になるといいます。

そして、最大の目玉にしたいと話すのが“故人との会話”。事前にAI(=人工知能)に声を学習させることで、故人とメタバースで会話ができる仕組みを開発中だということです。

アルファクラブ武蔵野・小川誠取締役
「AIを活用して、100年200年たっても故人様と会話が可能になるというものを」
「形はどうであれ、故人をしのぶきっかけの提供のサービスであればいいなと思っています」

来年7月には正式にサービスを開始する予定だということです。

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