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河井克行被告が渡した現金は 2市議が証言

2021年1月26日 22:34

河井克行被告の公判が1月26日に行われ、広島市の藤田博之市議と木山徳和市議が証人として出廷。克行被告が渡した現金について、藤田市議が「選挙違反のにおいがする」と述べたのに対し、木山市議は「陣中見舞いだと思いました」と証言しました。

26日の裁判には、まず、広島市の藤田博之市議が証人として出廷。藤田市議は2019年3月と6月の2回にわたり、合わせて70万円を克行被告から受け取ったと証言しました。

1回目は2019年3月に克行被告が突然、事務所を訪れ「陣中見舞いに来たという話と、参議院選挙に奥さんの案里被告が出るという話がありました」「案里をよろしく頼みますという意味だったと思う」と述べました。藤田市議が溝手顕正氏の応援をしなければならないため案里被告の応援はできないと伝えると、克行被告は、「いい具合に運動すれば2人通ります」などと言って内ポケットから茶色い封筒を差し出し、「陣中見舞いのしるしです」と言ったと話しました。

藤田市議は、「『陣中見舞い』と言いながら実際は『案里を頼む』、そういうお金だと思いました」と述べ、一度は拒否したものの現金50万円を受け取ったと証言しました。

そして、2019年6月にも再び克行被告が藤田市議の事務所を訪れ、市議選当選に触れながら「当選祝いです」と言って白い封筒を差し出してきたと話しました。

藤田市議は、「選挙違反のにおいがする」と思い受け取りを断るも、克行被告から「まあ、まあ、わずかですが活用してください」と言われ、現金20万円を受け取ったと述べました。藤田市議は、当時について、「選挙がいよいよ近づいて必死なんじゃろうなあという感じでした」「選挙がらみだろうというにおいがプンプンする時期だったです」と話し、封筒を受け取った後には、克行被告から「広島では2人通る票は十分にあるんだから、ひとつ案里を、出遅れちゃおるけど頼むけ」と言われたとも証言しました。

克行被告に対する思いとして、「財力と権力で広島の有権者に屈服をさせてきたんじゃないかと思います」と述べました。

藤田市議の次には、広島市の木山徳和市議が出廷。木山市議は、2019年3月に克行被告から現金30万円を受け取ったと証言しました。当時は木山市議の市議選の選挙期間中であり、克行被告の事務所から「陣中見舞いに行きたいから時間をとってほしい」という電話を受け、克行被告が選挙事務所を訪れたと述べました。

そして、克行被告は市議選の状況に関する話をした後、トイレの場所を聞いてきたと証言。木山市議が場所を伝えると、「すぐに『ちょっと』というふうに声をかけられました」「手まねきをされたんですね」「その場で『これを』ということで白い封筒を出されました」と述べました。木山市議は、封筒を差し出された瞬間に陣中見舞いだと思ったとし、気をつかわないでほしいという意味で「いや、結構です」と一度断るも、克行被告から「いえ、事務所で使ってください」と言われ、「ありがとうございます」と現金30万円を受け取ったと証言しました。

木山市議は現金の趣旨について検察側から何度も問われ、そのたびに「陣中見舞いだと思いました」と繰り返し答え、案里被告への票のとりまとめの趣旨が含まれているとは思わなかったかという問いに、「思わなかったです」とはっきりと否定しました。

陣中見舞いとしての現金の額については、自民党県連から陣中見舞いとして20万円ほどもらったことがあることから、「ちょっと多いかなと思ったですね」と述べ、「無理しておられるんじゃないか」という思いから、後に克行被告と話して一部を返そうと思っていたと話しました。

また、木山市議は、現金の趣旨を「陣中見舞い」とする認識について、検察官から取り調べを受ける中でなかなか信じてもらえず、検察官が「『そういう陣中見舞いのお金は認められるようなお金じゃない』と言ってきました」と述べました。

供述調書に現金の趣旨について参院選の票のとりまとめの依頼も含まれていると書かれていることを検察側から指摘されると、長時間の取り調べで精神的にまいってしまい、「言われるがままに書かれるがままにサインして帰りました」と話しました。


【公判を追う】河井夫妻・選挙違反事件克行被告公判(1月26日)