【解説】ワクチンの副反応とは?報告例は?
<新型コロナウイルスと副反応>
新型コロナウイルスの接種後、副反応が報告される場合がありますので、副反応についておさらいしておきます。
ワクチン接種とは、体の中に「異物」を入れ、体がこれと戦うことで感染症に対する免疫を得ることを目指すものです。つまり、どのワクチンでも「効果」を得るときに、副次的に体内での「反応(=副反応)」も起きうるのです。
副反応をなくすことは難しく、「効果=利益」と「副反応=リスク」のバランスを考えて、各自が接種するかどうか判断することになっています。
<ファイザーワクチンの副反応>
日本で承認されたファイザーのワクチンの副反応には、軽いものから重いものまであると報告されています。
添付文書には、重い副反応としてアナフィラキシーが挙げられています。薬や食物が体に入ってから短時間で起きることがある全身性のアレルギー反応で、じんましん、手足のしびれ、息苦しさなどが起きます。アメリカCDCによると、ファイザーのワクチン接種後のアナフィラキシーの報告例は、今年1月18日時点でおよそ1000万人に50例、20万人に1例だということです。アドレナリン製剤の注射など救急処置を行います。
さらに、添付文書に挙げられているその他の副反応としては、ワクチンを打った人のうち、接種した部位の痛みがあった人が84.3%、疲労があった人は62.9%、頭痛が55.1%、筋肉痛が37.9%などとなっています。
<副反応疑いの報告>
予防接種法では、副反応疑い報告の仕組みが設けられています。医師は、接種を受けた人が新型コロナウイルスのワクチンの副反応として典型的な症状を呈したり、接種後に入院したり、死亡する恐れがあったりする場合には、国に報告することになっています。
幅広く報告する仕組みのため、「副反応の疑い」として報告される中には、接種した日にたまたま持病が悪化したのか、ワクチン接種との因果関係が本当にあるのかどうか、すぐにはわからない事例も含まれます。
厚生労働省は、報告された事例について速やかに発表するため、発表の時点ではワクチン接種との「因果関係」は確定していません。その後、個々の事例について、専門医らで構成する審議会で因果関係を評価し、結果を公表することになっています。
つまり、ワクチン接種の後に何らかの症状が出たとして発表される例のすべてで「因果関係がある」とはいえないことを理解しておく必要があります。
<接種後、具合が悪くなったら>
厚生労働省は、接種後、具合が悪くなった人は、接種した医師やかかりつけ医の診察を受けるほか、都道府県ごとに設置される相談窓口に相談してほしいとしています。
また、健康被害救済制度があり、ワクチン接種によって健康被害が生じ、治療が必要、障害が残る、といった場合に、予防接種法に基づいて医療費や障害年金の給付などが受けられます。