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調査で“半数が変異型” 宣言解除の懸念は

2021年3月3日 11:37
調査で“半数が変異型” 宣言解除の懸念は

緊急事態宣言の行方が気になる中、感染力が強いとされる変異型の拡大が懸念されます。神戸市の調査では、感染者数が減る一方で変異型の割合は増加。専門家から「変異型が増えるプロセスに入った」「“第4波”の可能性も」と警戒する声が上がっています。


■“変異が半数”新データ

有働由美子キャスター
「変異ウイルスは、2日も新たに兵庫県で7件確認されました。日本国内では現在、17都府県で報告され、空港での検疫を含めると214件(2日午後10時時点)となりましたが、「感染の半数が変異ウイルス」という気になるデータが発表されました。

神戸市が今年1月1日から2月18日まで感染者1034人を対象にした調査で、1月1日~28日は変異ウイルスの感染はゼロでしたが、1月29日からの1週間では4.6%、その後、10.5%、15.2%と増えて、さらに2月19日からは感染者の約50%になる見込みといいます。

感染者数自体は減ってきていますが、一方で変異ウイルスの割合が高まってきています。

小野高弘・日本テレビ解説委員/国際部デスク
「専門家も心配しています。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授によると、『神戸のデータは予想よりも速い勢いで広がっていると感じました。同じことが他の地域で起こってもおかしくない。今後、変異ウイルスによる第4波も考えられます』と話しています」


■尾身会長“アラート” 感染拡大も

有働
「いま第3波の中にいるのに、もう第4波を考えなくてはいけないのですね。イギリス型の変異ウイルスは、感染力が強いと言われています」

小野
「従来のウイルスに比べて、感染力は7割増と強く、死亡率は3~4割高いという可能性があると言われています。これが爆発的に増えていったのがイギリスです。抑えるために完全なロックダウンを行い、2か月もかかりました。また、6000人を対象にしたイギリスの調査で新たなことも分かってきました。

変異ウイルスの感染者はせき、のどの痛み、倦怠感などの症状が出やすい傾向にあるということで、イギリスの研究者は『変異型は体内で増殖する力が強く、そのため体内でより広範囲にウイルスが広がり、症状が出やすいのではないか』とみています」

有働
「日本でも一気に広がってしまうのではないかと心配になります」

小野
「政府の分科会の尾身会長も、強いアラートを出しています。『増える可能性がある』ではなく、もうそのプロセスに入っている。よほど注意しないと、緊急事態宣言を解除した途端に感染拡大ということになる、ということです」


■落合陽一さんに聞く…どこに注目

有働
「ウイルスは変異するものですが、今後注目すべき点は」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「専門ではないのですが、感染力が高い、感染性が高いとされているので、検査で捉えて抑えようとしても、全体が変異株に置き換わっていく、とはよく言われています。そして(1人の感染者が何人に感染させるかを示す)実効再生産数を少なくとも0.4押し上げる、という話はされているので、今まで通り気をつけていても、感染してしまう可能性があるとは思います。

宣言を今まで通り解除すると、やはり感染者数が増えていくのではないでしょうか。ただ飲食店などの今の状況を考えると、解除せざるを得ない状況だと思います。そうすると今度はオリンピックを直撃しそうで、少し怖いというのはありますが…」

有働
「皆さんも心配しているところかと思いますが、緊急事態宣言を解除するにしても延長するにしても、菅首相には科学的なデータを示してもらって、『こうだからこの決断をした』と私たちが納得して協力したいと思える、協力できる説明をぜひお願いしたいです」

(3月2日『news zero』より)