LGBT法案「種の保存に背く」自民慎重論
今国会での成立に向けて与野党が準備していた、LGBT(性的マイノリティー)の人への理解を促進するための法案。野党との修正協議を踏まえ、自民党は20日審査しましたが、了承は見送られました。その会合で飛び出した慎重派の意見とは――。
■「差別は許されない」の文言追加で…
「日本がちゃんと多様性を認める。そして寛容な社会をつくっていく。それができるのは、保守政党であるわが自民党だけですから」
20日午前、自民党の稲田朋美特命委員長はこう述べました。
法案について、自民党は今国会での成立を目指していますが、これまでの立憲民主党などとの修正協議で、新たに「性的指向や性自認を理由とする差別は許されない」という文言が法案に加わったことから、20日、党本部で審査を行いました。
■出席者「表現が強すぎるのは危ぐ」
出席者から相次いだのは、慎重な意見でした。
「『許されない』と明記されることで、権利を主張する人が出て、裁判をあちこちで起こす」。「女性の競技に男性の体で参加して混乱を生じたケースもあった」。「例えば男なのに女と思って温泉などに入っていくのは犯罪にもなる。表現が強すぎるのは危ぐしている」
さらに「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」という声も上がったといいます。24日、改めて審査される予定です。
■廣瀬さん「早く平等認める法律を」
有働由美子キャスター
「どう思われますか?」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「(『LGBTは種の保存に背く』という)最後の声は、あり得ないですね。他にも慎重な意見はありましたが、問題があるケースは、どれだけあるのかなと(思いました)。それよりも、これまで苦しんできたマイノリティーの方のことを思うと、早く平等を認める法律ができてほしいと思いますし、オリンピック・パラリンピックも多様性がテーマだと思っています」
■ベテラン議員「反対強まっている」
有働キャスター
「なぜ自民党内でスムーズに進まないのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「ある自民党のベテラン議員は、『保守派は、LGBTにしても選択的夫婦別姓にしても最初から反対で、さらにその勢いが増している。今年は総選挙も必ずあるのに、内閣支持率も下がっているし、岩盤支持層(保守層)の支持も失ったら戦えないと思っている』」と解説しています」
「一方で、党内からは『こんなだから自民党は愛想を尽かされるんだ』という声も聞かれます。自民党は24日に改めて審査する予定ですが、党内からは『日程的にこの国会で法案を成立させるのはもう無理』という声も出ています」
有働
「本来は、当事者の人たちを含めたすべての人が、より良い暮らしをするための法案だということを、もう一度、思い出してほしいです」
(5月20日『news zero』より)