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米が日本に「渡航中止勧告」 五輪に影響は

2021年5月25日 20:12
米が日本に「渡航中止勧告」 五輪に影響は

新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、アメリカ国務省は日本への渡航警戒レベルを、最も高い「渡航中止勧告」に引き上げました。オリンピックも迫るいまなぜなのか。また、期限まであと6日の緊急事態宣言は延長されるのか。詳しく解説します。

■米、日本を最高レベル「渡航中止勧告」に引き上げ
 
アメリカ国務省は24日、日本への渡航警戒レベルを、これまでのレベル3「渡航の再検討」から、最も高いレベル4の「渡航中止勧告」に引き上げました。

これは、米CDC(=疾病対策センター)が、日本国内の感染リスクについて「非常に高い」に分類したことを反映した措置です。CDCは、日本の今の感染状況を「ワクチン接種が完了した旅行者でも『変異ウイルス』に感染し、広めるリスクがある」と指摘し、「日本へのあらゆる旅行を避けるべき」と警告しています。
 
では、この「渡航警戒レベル4」とは、どの程度のものなのでしょうか。実はレベル4が最も多く、インドやブラジル、フランスなど151の国や地域が指定されています。

レベル3は、イギリスや中国、イスラエルなど42の国や地域。レベル2「注意を強化」は、韓国、シンガポールなど16か国が指定されています。

日本は、感染拡大が深刻なインドやブラジルと同じレベルに分類されるわけですが、アメリカはほとんどの国や地域をレベル4に指定しています。また、あくまで「勧告」ということで強制力はないため、アメリカから日本への渡航自体は、引き続き可能です。CDCは、どうしても日本へ行く必要がある場合は「行く前にワクチン接種を完了すること」としています。

■東京五輪に「影響が見込まれることはない」
 
東京オリンピック開幕まで2か月を切る中での渡航中止勧告ですが、選手の来日はどうなるのでしょうか。

アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会は声明で、「委員会と東京組織委員会が選手とスタッフに行っている感染対策などにより、安全な参加が可能になると確信している」としています。

これについて加藤官房長官は、「今回の判断と選手団の派遣は関連していないとの説明をアメリカから受けている」と述べました。

また、東京オリンピック・パラリンピック担当の丸川大臣は、「必要な渡航まで禁止されているものではない」とし、東京大会に「影響が見込まれることはない」と述べました。

■重症者依然多く…医療提供体制はひっ迫
 
NNNのまとめによると、24日の全国の新規感染者は2712人で、3000人を下回ったのは先月19日以来です。自治体別で一番多かったのは北海道で366人、次いで東京が340人、大阪は216人でした。

一方、厚生労働省によると、全国の24日時点の重症者は1294人でした。東京・大阪の新規感染者数が減ってきたと感じる一方、全国で重症者は依然として多く、医療提供体制はひっ迫しています。油断は禁物です。

■大阪は宣言延長の要請を決める

現在出ている緊急事態宣言は、沖縄を除く東京や大阪など9つの都道府県で、期限まであと6日です。東京都の小池知事は25日、延長する必要があるか分析すると述べました。

「人流の抑えというのがまたゴールデンウイーク明けが増えてきている状況など極めて心配しています。(緊急事態宣言を)延長するのか否か、そして方法は、これについてはしっかりと分析していきたいと思っています」

一方、大阪府の吉村知事は、25日午後に開かれた対策本部会議で、次のように述べました。

「変異株は感染拡大力が非常に強いですから、いつまた(新型コロナウイルス感染が)再拡大するか分からないという状況。緊急事態宣言については、延長の要請をするという判断をいたしました」

吉村知事は、緊急事態宣言の効果は出てきていると思うとしながらも、感染者数が依然として多いことや医療提供体制が極めて厳しい状況にあることから、政府に宣言の延長を要請することを決定しました。

■宣言延長“来月20日まで”を軸に検討
 
政府は、今月31日に期限を迎える東京・大阪など9都道府県への緊急事態宣言について、延長する方向で調整しています。田村厚生労働大臣は25日、宣言解除の判断について、「一日あたりの新規感染者数が、東京では500人を、大阪では300人強を安定的に下回らなくてはいけないが、まだそこに至っていない」と指摘しました。

専門家が感染者数をしっかり下げる必要があるとの考えを示していることや、オリンピック開幕を前にリバウンドを避けることも念頭に、政権幹部は「今回は解除については慎重に判断したい」と話しています。
 
延長幅については、今月23日に追加された沖縄に期限をそろえて、来月20日までとする案を軸に検討しています。

厚労省は26日、専門家の会議を開いて状況を分析します。その上で、政府は週内に最終判断する方針です。

東京オリンピック・パラリンピックについては、アメリカのメディアで「ますます試練に直面している」と報じるところもあって、アメリカの措置が大会開催の是非の議論に影響を与える可能性もありそうです。

(2021年5月25日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)