宇都宮ライトレール新型車両を搬入お披露目
未来を感じさせる流線形の車体。「LRT」と呼ばれる次世代型路面電車です。この「宇都宮ライトレール」再来年春の開業を目指し、栃木県宇都宮市と隣の芳賀町にデビューします。このほどお披露目された注目の新車をたっぷり紹介します。さらに「日テレ鉄道NEWS」は普段、なかなか見られない新車の搬入作業も目撃していました。
■2023年春開業へ「未来の路面電車」をカタチに
5月31日。待望の宇都宮ライトレール、車両のお披露目です。この「HU300形」は1編成3両で、全長およそ30メートル。国内の低床式車両としては最多の160人の定員を確保しています。また、日本で初めて車両すべての乗降口にICカードリーダーが設置され、スムーズな乗り降りが期待されます。
気になる客席は…向かい合わせのクロスシートが多く、表面は合成のレザー張りで高級感があります。そして運転席に行ってみましょう。左手で操作するマスコン。ワンマン運転をサポートするモニターがたくさん並んでいます。正面と左右、計3枚の大きな窓ガラスで見通しも良好です。窓からは建設中の車両基地も見えます。
■なぜ黄色?「ライト」は「雷都」から…
「ライトライン」と名付けられた黄色が印象的なこの車両。宇都宮は雷が多く「雷都」呼ばれることから、「雷」の黄色をイメージカラーに、そしてサブカラーの黒で引き締めるデザインになったそうです。しかも先頭はLRTのLをかたどっています。内装も、黒やグレーを基調にシンボルカラーの黄色があしらわれるデザインになっています。
再来年春の開業を目指すこのLRT。宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地の間14.6キロ、19か所の停留所を結ぶ予定で、最終的には17編成が導入されるとのことです。
■新潟から車両搬入…最後にあの“重要パーツ”を取り付け
実はこのお披露目4日前の5月27日。私たちは珍しい作業を目撃していました。この日は製造元の新潟トランシスから初めての車両が届いたのです。
慎重に緑のシートを外すと…青いカバーで大事に梱包(こんぽう)された車体が姿を現しました。そして屋根に飛び乗る作業員。別のトラックからはなにやら部品のようなものがよく見ると…「パンタグラフ」です。実は車両はパンタグラフのない状態で運ばれ、ここで取り付けられていたのです。クレーンを使い、車両の屋根にパンタグラフを下ろしていきます。車体を傷つけないよう慎重な作業が行われていました。
そしていよいよ車両をトレーラーから線路へと移す作業。いま車両が持ち上がりました。そして呼吸をあわせ、レールに向けてゆっくり下ろしていきます。宇都宮の真新しいレールの上にLRTが初めて乗った歴史的な瞬間です。しばらくはここで走り出すその日を待ちます。
■沿線工事も佳境…快速運転可能な待避駅も
一方で、沿線での工事もいよいよ佳境に。LRTが走る真新しい高架橋が伸びていました。途中、車窓の見所のひとつになりそうなのが、一級河川・鬼怒川を渡るこの橋です。全長643メートルの「鬼怒川橋梁」もほぼ完成しています。
また、こちらの停留場ではすでにホームと屋根ができあがっていました。ホームの高さも30センチに抑えられ段差のないスロープでつなぐことでバリアフリーとなっています。近くでは複線のレールが敷かれていました。いますぐにもLRTが走ってきそうな光景です。
さらに注目なのはこちらのグリーンスタジアム前停留場。よく見ると、線路が二手に分かれ列車の追い越しもできる構造になっているんです。というのも、このLRT全線44分で走る各駅停車に加え、37分で走る快速列車の運転も検討されているからなんです。LRTが駅を通過するシーンは注目を浴びそうです。
■ギョーザの街の新名物に?延伸計画も
車両のお披露目でぐっと開業への期待が高まるLRT。繁華街や県庁のある宇都宮駅西側への延伸も検討されています。「ギョーザの街」宇都宮でもう一つの名物となる日は来るのでしょうか。
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「藤田大介アナの日テレ鉄道NEWS」は日本テレビで1番の鉄道好きアナウンサー藤田大介アナが鉄道に関するニュースや話題をマニアックな目線でお届けするオリジナル企画です。