清潔でも……令和の時代に「アタマジラミ」ナゼ? 女の子に多く発生、“フケ”と勘違いも 経路と対策は?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「令和の時代に…アタマジラミ」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●どんな虫? 清潔にしていても
●なぜ今? 対策は
「ヒトの頭に寄生するシラミですが、昔の話だと思っていませんか?」
河出奈都美アナウンサー
「あまり実感がないですけれども…」
森圭介アナウンサー
「我が家は去年、子どもに発生しました。流行ってるんですよね」
加納解説委員
「令和の子どもたちの間でも感染が広がっているんです。every.のスタッフの子どもの頭の写真をよく見ると、白い粒が見えます。これがアタマジラミの卵なんです」
鈴江奈々アナウンサー
「フケと見間違えちゃいそう…」
加納解説委員
「一見してフケと勘違いされる方もいるので、発見が遅れることもあります」
「小学生と保育園の子がいるスタッフなんですが、ゴールデンウイーク中にふと下のお子さんの頭に小さな白いものがあることに気付き、『珍しくフケが出ているな』と思い、念入りにシャンプーをしても取れませんでした」
「指でこすってもなかなか取れないので、『もしかしてアタマジラミなのでは』と気付いたそうです」
「急いで上のお子さんの頭もチェックすると、同じように白いものが見つかり、小児科を受診。アタマジラミの卵と言われたといいます。受診後、子ども2人は丸刈りになったそうです」
「シャンプータイプの医薬品を使いながら今も毎日、目視でチェックをしているということです。お子さんは頭をかゆがっていたことはなく、卵を見つけて気付いたそうです」
「もちろんお風呂に入って普通に生活していました。それでもこんな身近に、アタマジラミがつくということがあるんですね」
森アナウンサー
「うちも最初、『これ何だろう』と思いました。下の子にまずシラミが出て、次の日に上の子にうつっていました。一気に広がってびっくりしました」
加納解説委員
「繁殖力が強いのも特徴です。東京都保健医療局によると、アタマジラミの成虫は2~3ミリ、卵は0.5ミリほどの大きさで、ヒトの頭に寄生するシラミです」
斎藤佑樹キャスター
「僕も以前韓国に行った時にトコジラミがいて、注意してくださいと言われました。トコジラミとはまた違うんですか?」
加納解説委員
「トコジラミはシラミではなくカメムシの仲間で、全く別物です。アタマジラミの卵は髪の毛にしっかりついて、指でつまんでもなかなか取れません」
「卵は1週間ほどでふ化し、ヒトから血を吸うようになります。吸われたところがかゆくなり、かきすぎて頭皮に炎症を起こすこともあるそうです。羽がないので飛んだり跳ねたりすることはありません」
「性別・年齢に関係なくヒトの頭に寄生しますが、国立感染症研究所によると世界的に子どもに多い傾向が見られます。男の子よりも髪の長いことが多い女の子の方が寄生率が高い傾向にあります」
「ただ、髪を洗っていないからつく、清潔にしていたらつかない、というわけでもないため悩ましいんですよね」
鈴江アナウンサー
「普通に毎日のようにシャンプーしていても、ついちゃうこともあるんですか?」
加納解説委員
「そうなんです」
鈴江アナウンサー
「清潔にしていてもそうなるなら、どこからもらってきてしまう可能性があるのか。すごく気になります」
加納解説委員
「2022年度に東京都に寄せられた相談件数は 202 件でした。都保健医療局の過去10年間のデータを月別で見てみると、これからの季節に増える傾向があります。その理由は、アタマジラミが寄生する経路に関係がありそうです」
加納解説委員
「アタマジラミは、頭と頭が接触したり、枕・タオル・ブラシ・帽子など身の回りの物を共有することで移動して寄生します。寝ている時や遊んでいる時に、子ども同士の頭が自然とくっついちゃうことはありますよね」
「これから暑くなり、タオルを使ってポンと置いた時に他の人の物と重なったり、プールでブラシを貸し借りしたりすることでも、うつってしまうことがあるそうです」
「大人でも、満員電車などで気が付かないうちに髪が触れ合うことで、またジムや銭湯の共用ロッカーで感染する可能性もあるそうです」
斎藤キャスター
「僕もジムによく行くんですけど、その可能性があるということですよね。一度寄生したら大変でしょうし、気を付けたいですね」
加納解説委員
「過度に恐れる必要はないんですけれども、頭に触れるものは少し気にされた方がいいかもしれないですね」
鈴江アナウンサー
「森さんのお子さんの経路は思い当たりますか?」
森アナウンサー
「全く分かりません。下の子が最初にかかって、次の日には上の子の髪の毛に卵がついていたので、下の子から来たのは分かりますが、他は分かりません。対症療法で(医薬品の)シャンプーをやっていました」
加納解説委員
「分からない方が結構多いんですよね」
加納解説委員
「戦中戦後の衛生環境が悪化した時代、シラミやノミなどを DDTという殺虫剤を吹きかけて駆除する映像や写真を見たことがある方は多いのではないでしょうか。しかし国立感染症研究所によると、この殺虫剤は1971年に日本では使用禁止となり、発生件数が増加」
「1982年度に別の駆除薬が発売されて減少したものの、初石皮膚科クリニックの木下亜衣子院長によると、1994年度以降は増加傾向にあるといいます」
「木下院長によると、アタマジラミを知らない世代が増えてきていて、卵や成虫を見ても気が付かない、気が付いても駆除の仕方が分からない。そうこうしているうちに広がっていく可能性が指摘されています」
斎藤キャスター
「自分でできる対策はどのようにしたらいいんですか?」
加納解説委員
「木下院長によると、かゆくなって気付くのではかなり数が増えてしまった段階なので、早期発見が大切です。まず髪をかき分けて卵や成虫がいないか、よく頭をチェックしましょう。もし見つけたら丸刈りにするのが確実ですが、なかなか難しいですよね」
加納解説委員
「そのため、薬局で購入できる駆除用の医薬品シャンプーを使いましょう。ただ、シャンプーは卵には効かないので、併せて専用の目の細かい『すきぐし』で取り除きます」
森アナウンサー
「(私の家族も)爪でこすって取ってました」
加納解説委員
「爪だと少し取れることがあるんですよね。また木下院長によると、他の人に広げないために、使用したタオルや寝具は60度以上の温水に5分ほどつけてから洗濯します。アタマジラミは熱に弱いので、アイロンや乾燥機も効果的だそうです」
河出アナウンサー
「成虫とか卵でいろいろな対策がありますけれども、しっかり正しい方法を考えて実践していきたいなと思います」
加納解説委員
「ただ、アタマジラミはヒトから血を吸わなければ数日しか生きられないので、そんなに神経質にならなくても大丈夫だそうです。例えばカーペットなどは、掃除機や粘着クリーナーで掃除するだけでも大半は駆除できます」
「洗えないぬいぐるみなどは、ポリ袋に入れて口を封じ、卵がふ化する期間も考えて 2 週間ほど置いておけば餓死するそうです」
鈴江アナウンサー
「昔のことと思っていましたけれども、定期的に子どもの頭の様子とか見てあげることも大事かもしれませんね」
森アナウンサー
「(私の家族の場合は)ポリポリかいていたのが発覚のきっかけだったので、ちょっと目を配ってあげるといいかもしれませんね」
加納解説委員
「アタマジラミはきちんと駆除すれば、それほど心配することはありません。髪をチェックして早期発見・早期駆除に努めましょう」
(2024年5月7日 午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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