岸田前首相襲撃 被告の男に懲役10年の判決…争点は「殺意」
岸田前首相の近くに爆発物を投げ込んだとされる男の裁判で、和歌山地裁は19日、懲役10年の判決を言い渡しました。
◇
黒色のジャケットにメガネ姿で法廷に現れた木村隆二被告(25)。終始、無表情のまま判決に臨みました。
2023年、和歌山市に選挙の応援で訪れていた岸田前首相の近くに突然、爆発物が投げ込まれた事件。
大きな爆発音が響いたあと、あたりには白い煙が…。現場には木村被告が作った爆発物が残されていました。
岸田前首相はSPに守られすぐに退避。けがはありませんでしたが、あたりは騒然となりました。
その場で取り押さえられた木村被告。自ら作った爆発物を投げ込み、聴衆と警察官の2人にけがをさせたとして、殺人未遂などの5つの罪に問われています。
今回の裁判の争点は木村被告に“殺意があったのかどうか”。
裁判では弁護側は、「木村被告は爆発で人が死傷することはないと思っていた」と主張。
木村被告(初公判での供述)
「火薬を製造したことは認めます。人を害する目的ではないです」
木村被告もこう話し、殺意については否認しました。
これに対し、検察側は「爆発物は拳銃並みの殺傷能力があった」と指摘。懲役15年を求刑していました。
◇
そして迎えた19日の判決。
裁判長
「被告人を懲役10年に処する」
続いて、争点となった殺意があったかどうかについては「人が死亡する可能性が高いことは容易に分かるはずで、未必的な故意があった」として殺意を全面的に認定しました。
その上で、現職首相を狙った爆発物使用事件で、社会全体に与えた不安感は大きいと指摘。一方で「人への被害や選挙妨害は積極的に意図したものではない」として、懲役10年の判決を言い渡しました。
判決が言い渡されたあとも、落ち着いた様子で前を向いていた木村被告。木村被告の弁護士は「控訴するかどうかは本人と相談して決める」としています。
(2月19日放送『news zero』より)