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監督感染…南ア選手団「隔離ホテル」の現場

2021年7月20日 9:04
監督感染…南ア選手団「隔離ホテル」の現場

東京オリンピックに出場する7人制ラグビーの南アフリカ代表では監督の新型コロナウイルス感染が判明しました。待機するホテルで19日、隔離のため汗を流す現場を取材しました。一方、関係者と外部との接触を遮断する「バブル方式」の穴が指摘されています。

■監督感染…指揮は「リモート」で

東京オリンピックに出場する南アフリカの選手団。サッカーだけでなく、7人制ラグビーでも1人の新型コロナウイルス陽性が判明していましたが、合宿先の鹿児島で感染が確認されたのは、ニール・パウエル監督だったことが新たに分かりました。

南アフリカラグビー協会によると、7月26日~28日に東京で行われる試合は、リモートで指揮を執ることになりました。

選手らに目立った症状はありませんが、鹿児島市の保健所が濃厚接触者の調査を進めていて、宿泊先のホテルで待機しています。

■滞在先のホテルは「隔離」徹底

そのホテルはどんな様子なのか、19日に内部を取材しました。

総支配人によると、エレベーターは3基ありますが、選手が使うのは1基のみ。その上、バスが止まって出入口として使う地下1階、選手らの部屋がある9階、レストランがある13階しか止まらないようになっています。南アフリカの選手団が利用するフロアのボタンには蓋をし、一般客と交わらないようにする工夫もされています。

総支配人
「(選手団の到着日は)レストランで食事をしていただいていたんですが、陽性者が出たということがありまして、今は各部屋に私どもが食事を運んでいます。完全に部屋から出ないようにしております」

選手たちが滞在するのと同じタイプの部屋を見せてもらいました。

総支配人は「シーツとか枕カバーとかタオルとか、希望があった場合は必要な枚数だけ廊下に置いておく(ようにしています)」

部屋の清掃も入らず、完全隔離状態といいます。対応するスタッフは固定し、総支配人も選手と接する機会はありません。

総支配人
「(選手団が)こちらにお着きになってからも、日によって毎日この状況が変わっていくものですから、非常に困惑というか混乱をしているところです。選手の方も1日も練習ができていない状況ですので、本当に気の毒だし、かわいそうだなと思いますよね」

■「バブル」外出15分ルールに穴

そんな中、問題視されているのが、感染対策で外部との接触を遮断する「バブル方式」の穴です。19日に開かれた「東京オリンピック総点検 野党合同チーム」の会合では議員から指摘が相次ぎました。

立憲民主党・山井議員
「多くのホテルに置かれているという『15分ルール』のペーパーですね。15分以内の外出がオリパラ関係者に認められているのではないかと。バブルどころか、ざるの現状が明らかになっているんです」

オリパラ事務局
「(15分ルールを)作成した趣旨としては、外出を短時間で済ませてくださいということだと聞いていますが、今の記載だと誤解を生じる恐れがあるということで、再考を組織委員会に促しているところです」

取材したロシアのメディア関係者は「オリンピックで人が集まりますからね。厳しい措置も理解できる。ルールは守ってるよ」と話しました。

ただ、大会関係者とみられる人が店内飲食を楽しんでいる様子も確認され、「バブル」のルールを守っていない人もいます。

■ホストタウンは「バブル」に汗

19日夜、羽田空港で、レスリングのセルビア代表を受け入れる埼玉県富士見市の担当者が電光掲示板を見つめていました。

空港のスタッフに「(選手が出てくるまで)平均的に2時間は」と聞かされ、富士見市の担当者は「平均2時間。ちょっと待ちましょうかね、どっかで」と言い、選手が来るのを、今か今かと待ち受けていました。

練習を行う市内の体育館では慌ただしく準備が進みます。選手たちには裏口を通ってもらうなど、市民と接しないための動線も確保。「バブル」への対応にも余念がありません。

担当者
「楽しみが80%、10%はドキドキしながら、あと10%は思い切ってやるだけだと」

■トヨタは五輪CM「見送り」

一方、東京大会の最上位のスポンサーであるトヨタ自動車は、オリンピック用に制作した国内のテレビCMの放送を見送ることを決めました。「いろいろなことが理解されていない五輪になりつつある」からだとしています。

(7月19日『news zero』より)