“2週間の集中対策”…具体的にどうすれば
全国各地で新型コロナウイルスの感染者が過去最多を更新するなど、感染が急拡大しています。専門家は「今から2週間、集中的な人流抑制策などが必要だ」と呼びかけています。具体的にどうすればいいのか、詳しく説明します。
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■人流減らす“2週間”集中対策…専門家提言
最新の感染状況を確認します。12日、全国で新たに確認された感染者は1万8888人と過去最多を更新しました。首都圏では埼玉、ほかにも宮城、福島、静岡、それに九州の各県など大都市だけでなく各地の20の府県で、過去最多となりました。
東京でも12日は過去2番目に多い4989人の感染が確認されました。都の専門家は「かつてない速度で感染拡大が進む『制御不能』な状況で、災害レベルの非常事態だ」と、かなりの危機感を示しています。
こうした急速な感染拡大を受け、政府の分科会は、「今後2週間の集中的な対策強化が必要だ」と提言しました。
政府分科会・尾身茂会長
「『(人流を)緊急事態始まる前のレベルよりも半分に減らしたい』というのが今回の目標。ともかく今のままだと更に深刻化するから、とりあえず2週間は頑張ってもらう必要があります」
具体的には人流を、今の緊急事態宣言が出る前の7月前半に比べて、半分にする必要があるということです。
今回の緊急事態宣言は7月12日に出ましたが、都内の主要な繁華街の人での推移を表したグラフでは、今の人出は一番減っている夜間(青)を見ても、宣言前の27%減にとどまっています。これを5割まで減らす、つまり半分にするというのは、今年4月25日に緊急事態宣言が出された後に大きく減って、一番底になったところを目指してほしい、ということになります。
ただ、これは「少なくとも」と最低限の目標で、私たちの意識としては去年4月、初めて緊急事態宣言が出され、皆が昼夜問わず外出を自粛し、人出が減った──この時くらいの危機感を持って、行動してほしいと尾身会長は話していました。
尾見会長は感染急拡大が顕著な東京を例に話しましたが、今は全国で感染が再拡大しているので、「東京以外も“全国的な緊急災害”の心構えで取り組んでほしい」ということです。
■求められる具体的な対策とは
具体的に、どういう対策が求められるのでしょうか。
1.外出機会を5割減
街の人出を減らすには、皆が外出を控えるしかありません。買い物や仕事などで混雑した場所に「週4回」行っていたなら、「週2回」に減らすことを意識する必要があります。
2.“デパ地下”やショッピングモールなどへの人出を強力に抑制
百貨店などで実際に感染したりクラスターが発生しています。やはり混雑もするし、映画館・図書館などと違って会話もするので、リスクが高くなります。
3.テレワークの更なる強化
特に基礎疾患のある人や妊婦さんは、人との接触機会を減らすことが必須だとしています。去年はテレワークしていたが、もう戻っているという会社も多いです。今一度、意識したいです。
4.県境を越える移動はなるべく控える
やむを得ず外出をしなくてはいけない場合は、すいている時間帯に短時間で済ませるなどを徹底してほしいということです。
今の感染急拡大の最大の要因の1つとも言えるのが、感染力の強い「デルタ株への置き換わり」です。厚生労働省によると現在、東京都ではデルタ株がすでに全体の95%を占めていて、ほぼ置き換わったと推定しています。
■感染力強いデルタ株…ワクチン“重症化抑える”効果
ここでデルタ株の特徴を改めて整理します。
1.感染力
厚労省などによると、デルタ株は従来株と比べ、感染力はおよそ2倍になっています。ただ、アメリカのCDC(=疾病対策センター)がまとめた内部文書では「デルタ株は、1人の感染者から平均5人~9.5人に感染を広げる」としています。
季節性インフルエンザは、1人から2人に広げるとされているので、デルタ株は非常に強い感染力を持っていることになります。
2.重症化リスク
従来株と比べ、入院のリスクが高い可能性があるとされています。
3.ワクチンの効果
従来株と比べて、ワクチンを打っても感染や発症を抑える効果が減る可能性が指摘されているのですが、「重症化を抑える効果は変わらない」としています。つまり、デルタ株でもワクチンをしっかり打っていれば、重症化はかなり防げるというのが現時点の知見です。
このデルタ株の感染力の強さを示す具体例が、12日の都のモニタリング会議でも示されました。
2人の人が、マスクなしで15分間会話する場面では、従来株ではおよそ1.2mの距離をあけた場合のリスクと同程度にするには、デルタ株ではおよそ1.8m距離をあける必要あります。ただ、この距離をとれば安心…というわけではなくて、デルタ株では相手との距離をより広くとらないといけないということです。
また、会話する時間についても、2mの距離をとって、従来株で45分会話したのと同じ感染リスクになるのは、デルタ株だと「20分」と、従来株の半分以下の時間で同じ感染リスクになるということです。
これぐらいデルタ株の感染力は強いということなので、正しくマスクをつけて、相手とより距離をとり、会話は短時間で済ませる必要があります。
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今回の感染拡大を受けて専門家は、「制御不能」や「災害レベル」とか「経験したことのない」など言葉を尽くして、危機感を伝えようとしています。ただ、その危機感が本来、届くべき人々に伝わらなければ、人流の抑制にはつながりません。今こそ、職場や家庭、友人とも声をかけ合い、社会全体で危機意識を高めていくことが必要ではないでしょうか。
(2021年8月13日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)