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“自宅療養中に死亡”減らす新たな取り組み

2021年8月23日 18:57
“自宅療養中に死亡”減らす新たな取り組み

新型コロナウイルスの自宅療養者が急増する中、療養中に亡くなる例も相次いでいます。自宅療養者の命を守るため、支援する新たな自治体の取り組みが続々と始まっています。こうした取り組みについて、詳しく説明します。

    ◇◇◇

■都 自宅療養中の死亡は今月“9例目”症状急変の可能性

東京の感染状況について、22日、東京では新たに4392人の感染が確認されました。これは日曜日としては過去最多です。

また、22日、60代の男性が自宅療養中に亡くなっていたことがわかりました。都内の自宅療養中の死亡は、今月に入って9例目になります。この男性は、基礎疾患がありませんでした。また、入院調整中ではなく、自宅療養と決まった方でした。

15日までは健康観察の電話連絡が取れていましたが、16日に連絡が取れず、自宅訪問で亡くなっているのが発見されました。男性は一人暮らしでした。都の担当者は、前日まで症状が変わりなくても、急変する可能性があるので、患者は保健所や医療機関だけでなく、家族や会社などとも連絡を取り合ってほしいと話していました。

東京では、自宅で療養している人は、22日時点で2万4704人です。2か月前と比べると36倍と急激に増えていて、3週間前の今月1日と比べても2倍以上になっています。

■自宅療養者に「オンライン診療」保健所の負担軽減などメリット

こうした増え続ける自宅療養者に対応するため、新たな取り組みが始まっています。東京・品川区では、無症状、軽症の自宅療養者向けの「オンライン診療」が先月、本格的に運用開始されました。

どういう仕組みかといいますと、「咳がひどくなった」、「持病の薬がなくなりそう」など不安がある患者さんから保健所に連絡があった場合、診察が必要だと判断される人に携帯のショートメッセージなどでURLを送ります。

スマホやパソコンからそちらにアクセスすると、受け付け画面が出ます。そして、名前や症状などを登録すると、オンライン上で診療待ちの状態になります。病院で言うと受け付けをして、待合室で待っている状態になります。

そうすると、品川区内の8つの医療機関、10人の医師の中から、そのとき手が空いている医師が、待っている患者さんを順番にオンライン診療していくのです。その後、薬が必要と判断されれば、医師が処方箋を書き、薬局にファックスをします。それを見て薬局が薬を患者の自宅まで配達してくれる、というものです。

患者さんにとっては、自宅にいるまま診察を受けて薬を届けてもらえば、感染を広げるリスクを減らせるメリットがあります。また、体調がしんどくても、動く必要がありません。

医師にとっては、感染リスクがなく、往診に行く移動の時間がないので時間の節約になり、通常診療の合間に診察できます。

保健所にとっても、負担軽減につながったということです。これまでは自宅療養者から症状や薬の相談があった場合、保健所が、オンライン診療できる医師を探していました。この仕組みができて負担が軽減されて、その分、自宅療養者の経過観察に時間をかけられるようになったというメリットがあります。

さらに、ひっ迫する医療体制へのメリットも大きいと医師は話しています。

品川区医師会理事・三浦和裕医師
「とにかく早く、軽症のうちからどんどん積極的に治療をすることで、病院への負担を少なくしていく」

三浦医師は医師が診るだけで終わってしまうのではなく、薬が患者の手に届かないと意味がないとし、薬局の協力が大きいと言っていました。

■生活支援から“自宅で死亡”減らす取り組みも

自宅療養者の生活の支援から、自宅で亡くなる方を減らそうという取り組みも進んでいます。

神奈川県海老名市では、市の職員が自宅療養者の買い物やゴミ出しを手伝っています。担当しているのは、市の職員20人で構成されている「自宅療養者支援チーム」です。

職員が療養者と連絡を取り、希望がある場合にこうした支援を行っているということです。買い物希望の場合は、療養者が欲しいものリストを作り、注文翌日に職員が買ってきて玄関先に届けます。ゴミ出し希望があれば早ければ即日、清掃職員が回収しにきてくれる玄関前などに出すということです。

実際にコロナに感染した人から、こうしたことに困ったという声が多かったことから、始めた取り組みであるということです。自宅療養者の増加で、26日からは10人増員して30人態勢にするそうです。

こうした取り組みのメリットは、自宅療養者の生活が助かるだけではありません。

自宅で亡くなる人を減らすため、容体の急変を見落とさないことも目的の一つです。というのもこのチームは、市の保健師や救急隊をもつ消防本部とも連携しています。そのため、場合によっては救急搬送も行えます。これまで、救急搬送は3件あったということです。

■“入院の判断”保健師の聞き取りから医師の診察へ切り替えも

また、医療がひっ迫している今、入院調整が難航するケースも増えています。これを解消すべく、東京・八王子市では、先週から新たなチームを立ち上げて、入院が必要かどうかの判断を保健所の保健師の聞き取りではなく、医師の診察で行うシステムに切り替えました。このチームには保健師のほか、医師、救急救命士なども参加しています。

まずは、保健師の聞き取りで、医師の診察が必要となった人が診察を受けられるようコーディネーションします。そこで入院が必要と判断されれば、このチームで優先順位をつけて入院調整を行うということです。

また、八王子市では6つの病院、およそ200床でコロナ患者を受け入れていますが、現在、ほぼ満床状態です。それをこのチームが、感染力のなくなった患者をコロナ受け入れ病院以外に転院させたり、今週からは治療が終わった人は退院させ、自宅療養に戻すことも始める予定です。

これにより入院調整で負担が増していた保健所の業務が効率化され、病床の回転率もよくなることが期待されます。

    ◇◇◇

従来の流れから、作業を変更し、効率化させていくのは、簡単なことではないと思います。それぞれの取り組みは、自宅療養者が急増する中、今まさに必要とされているものばかりでした。今後さらに上手く機能することを願います。

(2021年8月23日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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