都“ミドル世代”人流が増加傾向…懸念の声
全国で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、緊急事態宣言などの対象地域が大幅に追加される中、東京では40代、50代のミドル世代の人流が増加傾向にあることが明らかになり、専門家からは懸念の声があがっています。
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最新の感染状況について、25日、東京では、新たに4228人の感染が確認されました。3日連続で、前の週の同じ曜日を下回っています。これは、お盆休み中に雨が続いて天気が悪く、人があまり出歩かなかったことなども影響しているとみられています。
東京都の担当者は、「高い感染者数であることは変わらない。油断することなく引き続き、人との接触を避けて行動して欲しい」と呼びかけました。
■ワクチンに異物混入…使用中止となった“ロット番号”は
そして、ワクチン接種に関して26日未明、気になる動きがありました。厚生労働省は、モデルナ製の一部のワクチンについて異物が混入しているとして、使用を中止すると発表したのです。
異物混入の報告があったのは、東京、埼玉、茨城、愛知、岐阜の職域接種と大規模接種の会場あわせて8か所です。今月16日以降、輸入と国内の供給を請け負う武田薬品工業に、39件の報告があったということです。異物が見つかったのはスペインの会社の工場でつくられた、同じ製造ロット番号のものだったということで、これと同じ時期に同じ製造ラインでつくられたものを含めて、使用中止になりました。
すでに接種した人は、自分の接種券に貼ってあるシールに、どのロット番号のワクチンを打ったかが、必ず記載されています。確認してみるのがいいでしょう。
今回、使用中止となったのは、以下の3つのロット番号です。
・3004667
・3004734
・3004956
この中で「4734」の番号が実際、自衛隊大阪大規模接種センターで、8月7日に接種されていました。
このロット番号のワクチンは、合わせておよそ160万回分に相当し、すでに全国の863の会場に納入されていますが、厚労省は、26日、各会場に連絡して使用中止を呼びかけています。
混入していた異物は、どのようなものだったのでしょうか。岐阜で発見されたケースでは、今月、大規模接種会場で、6本の瓶に黒い異物が混入しているのが見つかりました。薬剤師が接種前に瓶を目視で確認した時に発見して、使用を取りやめました。
関係者によると、異物は、金属片の可能性があるということで、目で確認できるもので黒っぽいもの、と話しています。武田薬品は、異物をモデルナ社に送り、調査を進めているということです。
接種した人で、普段と変わったことがあった場合には、かかりつけ医などに相談して欲しいということです。今回、混入が報告された異物は、接種の準備段階で見つかったため、実際に異物入りのワクチンを打った人は確認されていません。
ただ、今回の事態をうけ、一部の会場で接種が中止になるなど、影響が出ています。全日空は、羽田空港での職域接種のワクチンには現在、当該ロット番号のものしかないため、26日と27日、およそ800人分の羽田空港での職域接種を中止すると発表しました。
厚労省は、今後、影響を最小限にするよう、代替のワクチンを供給するとしています。
■都 主要な繁華街の人出…増加に転じる
一方で、人流に関して、少し心配なデータも発表されました。東京では、新規感染者数の増加傾向がやや鈍化してきたように見えますが、ここにきて人流が増加に転じていることがわかりました。
東京の主要な繁華街での時間帯別の人出を4月から確認すると、3回目の緊急事態宣言が出た直後には、どの時間帯も人流がぐっと減って、宣言前と比べて35%から50%の減少となりました。
一方、今回の4回目の緊急事態宣言の直後は、減り方がかなり緩やかになっています。さらに、今月中旬のお盆明けの1週間は、7週間、減少傾向が続いていたのが、増加に転じてしまっています。
特に感染リスクが高いとされる午後10時~午前0時の深夜帯の人出は、前の週と比べて、お盆明けは10.6%増、さらに直近は9.5%増と顕著に増えています。夜間だけでなく昼間も含めて、全ての時間帯で、人出が上昇に転じてしまっています。
専門家は、人出を宣言前の半分まで減らす必要があると言っていましたが、そこに到達する前に上昇に転じてしまったということです。これまでのデータでも、人流が増加した後には必ず感染者数も増えていて、人流と感染者数は密接にリンクしているということが言えます。
25日、開かれた厚労省の専門家会議で、脇田座長は次のように警鐘を鳴らしていました。
厚労省アドバイザリーボード・脇田座長
「緊急事態措置、重点措置の継続、拡大が続いているわけですけど、そういった措置にもかかわらず、滞留人口は、東京で増加の動きが見られるということで、感染者数がこれまでにない規模で全国的に増加しています。さらに感染者数が今後増加する可能性が、あると考えています」
■若者の人出は減少…ミドル世代から中高年の人出増加
どのような人たちが、外出しているのでしょうか。年齢別に見てみると、夜間、深夜ともに若者の人出は減っていて、むしろ、40~64歳、つまりミドル世代から中高年の人たちの人出が増えています。テレワークなどが、なかなか増えないという声も聞かれます。この世代は社会の中核を担う世代ですし、人口も多いので、人出が増えているのは心配です。
ただ、専門家は今後夏休みが終わって大学などが再開すると、20代などの若い世代の人出もさらに増える可能性が高いとして、警戒が必要だとしています。
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いま、全国の重症者数は連日、過去最多を更新し続けています。この数字を減らすには、全体の感染者数を減らすことが必要で、そのためには、とにかく人流を減らすしかありません。増加傾向に転じた人流を、ここでぐっと抑えられるかどうかにかかっています。
2021年8月26日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より。