食で温暖化阻止?地球にやさしい最新グルメ
「Update the World#8あ゛づい…地球はどこまで暑くなるの?」では、地球温暖化が起きる仕組みや、私たちができる身近なアクションを紹介。地球温暖化防止につながるグルメもクイズ形式で紹介した。
■新たな技術がいかされた食品
一つ目に紹介したのは、大豆由来のパテを使ったハンバーガー。大豆と地球温暖化、どのような関係があるのか疑問に感じるかもしれないが、“牛肉を使っていないこと”がポイントだ。牛のゲップには、“パワフルな”C(炭素)が含まれている。
Cは、周りにO(酸素)が少ない環境だと、H(水素)と結合して、CH4(メタン)となる。CH4は、CO2の25倍の温室効果がある。牛のゲップにはCH4が多く含まれており、食肉を育てる牛の畜産業は、地球温暖化への影響が懸念されている。肉の代わりに大豆ミートなどを選択することも、脱炭素なアクションだ。
続いて紹介したのは、ごみ焼却場から出るCO2を活用した卵。
私たちの家庭から出た可燃ごみが焼却されるとき、ゴミの中に含まれるCがCO2として大気中に排出される。佐賀県・佐賀市のごみ焼却施設では、日本初の最新技術により、ゴミ焼却の際に発生する排気から、CO2のみを分解して回収することができる。
回収されたCO2は「ヘマトコッカス藻」というプランクトンのような植物を育てるために利用。このヘマトコッカス藻を混ぜた餌をニワトリに与えて育て、産まれた卵を直営のレストランで販売している。
この他にも、CO2をビニールハウス栽培に活用することで、作物の収穫量を増やすような取り組みもあるという。
■自然エネルギーで作られる商品を選ぶ
新しい技術が利用されていなくとも、脱炭素なプロセスで作られる商品もある。缶ビール「バドワイザー」には「RENEWABLE ELECTRICITY 100%」というマークが刻印されている。これは、ビール製造に関わる電力を100%自然エネルギーで賄っているという印だ。バドワイザーを製造するベルギーのビール会社では、2025年までに醸造所で使う電力をすべて、自然エネルギー由来の電力に切り替える予定だという。
どんな電気で作られたか明示されることで、消費者は家庭の電力を切り替えるだけでなく、日常使う商品の選択を通して自然エネルギー由来の電力を選べることになる。
この取り組みに対して、自然エネルギーを実質100%使ったハチドリ電力の事業に取り組む小野悠希さんは「消費は投票だ」と評価する。
「自然エネルギー100%でものづくりをする取り組みは増えていますし、それを理解した上で消費者が選択をすることがすごく大事だと思います。消費は投票と呼ばれるように、何を買うかは、どういう未来を作るかと直接つながっている。消費者が選ぶことで、自然エネルギーで製造されるものが増え、社会が変わっていくんじゃないかなと思います」
■フードロスを無くすことも地球温暖化防止
地球温暖化防止につながる食品を紹介する中で、WWF(世界自然保護基金)ジャパンで地球温暖化に関する情報発信に取り組む市川大悟さんは「生産者だけでなく消費者側の行動も重要だ」と指摘する。
「食品を作って、流通に乗せて、最終的に消費者の手に渡ったり、廃棄されたりするまでに発生する温室効果ガスの量は、全体の30%ほどという研究があります。また、食品の約25~30%ほどが廃棄されていると言われています。省エネを意識するのと同じ様に、フードロスをしないように意識することも重要だと思います」
フードロスは“もったいない”だけなく、地球温暖化の一端も担っているということだ。
■前向きに、一人ひとりの行動で未来を紡ぐ
番組を振り返り、番組コンダクターの辻愛沙子さんは「楽しみながら地球温暖化防止に取り組めることが大事かもしれない」と話す。
「地球温暖化を防ぐためには、何かを我慢しなきゃいけないイメージもありましたが、自然由来の電気でも停電しないとわかりましたし、ビールも飲めるし、お肉も楽しめる。楽しみながらできるというのが、すごく大事なことかもしれないと思いました」
「脱炭素社会の実現」と聞くと、途方もなく大きく、自分にできることなんてないと思うかもしれない。しかし、関係ない人はいない、誰にとっても自分ごとな問題だ。一人ひとりのアクションが大切だと、最後に小野さんから力強いメッセージが発せられた。
「私たち一人ひとりが地球温暖化に対してできることって何だろうって、私も思っていましたし、同じような方は多いんじゃないかと思います。ですが、今日出てきたように一人ひとりにできることって本当にたくさんあって。それぞれができることをやることで、地球温暖化の解決につながる。今日の話が、アクションのきっかけになればいいなと思います」
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この記事は、2021年8月27日に配信された「Update the world #8 あ゛づい…地球はどこまで暑くなるの?」をもとに制作しました。
■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。