妊娠率7割「着床前診断で妊娠率が上がる」
流産を防ぐことを目的に受精卵に染色体異常がないかを調べる「着床前遺伝子診断」の臨床研究の結果、妊娠率がおよそ7割となったことが分かり、日本産科婦人科学会は着床前診断で妊娠率が上がると結論づけました。
着床前診断は、不妊治療で体外受精した受精卵に染色体異常がないか調べる検査で日本産科婦人科学会は、流産などを繰り返した不妊治療中の人を対象に流産や不妊を予防できるか臨床研究を行いました。
23日に開かれた学会のオンラインシンポジウムでは、ことし7月時点のおよそ100か所の医療機関の4300人あまりを対象に行った着床前診断の中間的な結果が公表されました。
それによりますと、妊娠12週まで継続したのは、体外受精で妊娠できなかった人の場合、およそ63パーセント、流産を繰り返した人では、およそ72パーセントで、流産率はいずれも10パーセントを下回りました。年齢による差はなかったということです。
一方、60パーセント以上で受精卵に染色体異常が認められ子宮に戻すことができなかったということです。学会は、受精卵を子宮に戻すことができた事例では妊娠率をあげることができたと結論づけました。
着床前診断を巡っては、命の選別につながる恐れがあるなど倫理的な課題もあるため学会は、今後、広く一般にも意見を求め、不妊治療として実施するかなど検討していくとしています。