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遺族「差別は人を狂わせる…」 100年前の「福田村事件」 震災後“デマ”で…日本人9人が殺害 千葉・野田市

2023年9月7日 6:11
遺族「差別は人を狂わせる…」 100年前の「福田村事件」 震災後“デマ”で…日本人9人が殺害 千葉・野田市

ちょうど100年前の9月6日に「福田村事件」が起きました。関東大震災直後、「朝鮮人が井戸に毒を投げた」といったデマが広がり、多くの朝鮮人が殺害される中、日本人9人も犠牲になりました。9月6日に行われた追悼式で、遺族が訴えたことは…。

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現在の千葉県野田市で日本人9人が殺害された「福田村事件」から100年。6日、遺族など約80人が集まり、追悼式が行われました。

「福田村事件」の遺族
「怖かっただろうな。香川に帰りたかっただろうなって…」

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100年前、死者・行方不明者が約10万5000人にのぼった関東大震災。震災後、「朝鮮人が襲撃する」「朝鮮人が井戸に毒を投げた」などとデマが拡散しました。

各地で、予備役といった在郷軍人や消防団などで結成された“自警団”によって、次々と朝鮮人の虐殺が行われました。当時を描いた絵巻には、刀などで朝鮮人が襲われる様子が描かれています。

こうした混乱の中、香川人権研究所によると、朝鮮人だけでなく日本人や中国人も犠牲となったといいます。そして震災の5日後に起きたのが「福田村事件」でした。

香川県から薬を売るために15人の日本人が村に来ていたところ、自警団の一部の人に朝鮮人だと疑われたことなどをきっかけに襲われ、子どもや妊婦を含む9人が亡くなりました。

事件を語り継ごうと追悼式を主催した市川正廣さんは「無知からこの差別も生まれますから。差別の究極は人の命が奪われるってこと」と話しました。

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野田市に住む、吉田龍二さん(80)。吉田さんの祖父は当時刑事で、事件で生き残った6人のうち身寄りのない13歳の少年を自宅に2日間、泊めたといいます。ただ、実は長い間「福田村事件」について知る機会がありませんでした。

吉田龍二さん
「わたし野田で育ったんですけど(事件について)あんまり話さない、大人の人はね。調べようともしなかった。それは反省点ですね。いま災害が多いですから、そういう点では繰り返される可能性はあると思います」

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“デマ”や“差別”が原因で命を落とした9人。100年たったいま、遺族が伝えたいことは何なのか。

「福田村事件」の遺族
「当時の時代背景の中で、そうさせたことを直視するべきだと私は思います。デマをながした元が原因というか。ひょっとしたら家族や子どもを守るために(自分も)参加していたかもわからない」
「(大切なのは)やっぱり差別をなくすこと。偏見・差別っていうのは人を狂わせるし、人を殺す。最大の人権侵害だと私は思います」

(9月6日放送『news zero』より)

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