様々な業種で起きている人不足ですが、移動の足を担うタクシーも例外ではなく、タクシー業界も深刻なドライバー不足に見舞われています。このピンチを脱すべく注目されているのが外国人ドライバーです。さらに、芸能活動を行う人を積極的に採用する会社もありました。

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公共交通機関が発達した大都会・東京でも、世話になる人が多いのが、目的地に直行できるタクシーです。ただ東京・銀座を行き交う車両を見てみると、すでに客が乗車していたり、「迎車」と表示されていたりと、乗れない車両ばかりでした。

空車もあるもののタクシーがなかなかつかまらない状況に、街の人からは次のような声が聞かれました。

会社員（30代）
「だいたい見送ってますね。3～4台くらい見送ってます」

自営業（50代）
「やっぱり道に流れていない。つかまえられないですよね」

街中のタクシーが減ったように感じる理由は、ドライバーの減少です。

国土交通省による｢タクシー事業の運転者数推移｣では、2009年度までは40万人をキープしていたものの、それ以降は右肩下がり。2021年度は約25万人まで減少しています。

人手不足から車両のフル稼働も困難になり、タクシー業界は“ダブルパンチ”に見舞われています。

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この窮地を脱するため、白羽の矢が立てられたのが外国人です。日の丸交通を訪ねました。

ハッサンさん
「ガーナのチョコレート、国はガーナです。人とお話しするのが好きなので、タクシーは色々面白い人が乗るので」

ガーナ出身のハッサンさんは、来日して17年。コロナ禍をきっかけにタクシードライバーを目指したといいます。しかし、交通ルールがガーナと全く異なる日本。「2種免許」の取得には苦労したそうです。

ハッサンさん
「名前がハッサンなので83回受けて。汗は男の涙なので頑張らないといけないので」

去年、83回目のチャレンジで合格、“プロ”になりました。

ハッサンさん
「お客様乗って後ろ向いて『えっ！？外国人なんですか』って」

驚く客もいるといいますが、タクシー会社にとっても外国人ドライバーのメリットがあるといいます。

日の丸交通　ハッサンさんを指導したルガー・ウォルフガング教官
「言葉が2～3か国語話す方が多いので、そういう活躍してます」

外国人観光客を相手に力を発揮するといいます。そんなハッサンさんの仕事ぶりに密着しました。

まず乗車したのは、イギリスからの観光客。いきなりの外国人です。

イギリスからの観光客
「今日はこれからショッピングに行くの」

ハッサンさん
「原宿をおすすめします。たくさんお店がありますよ」

イギリスからの観光客
「ちょうど原宿に行ってみたいと思っていたの」

ハッサンさん
「新宿には行きました？」

イギリスからの観光客
「新宿のゴールデン街に行ったわ。とても良かった」

英語で会話も盛り上がり、築地に送り届けました。

イギリスからの観光客
「日本で何度もタクシーに乗ったけど、外国人のドライバーは初めてでした。運転も上手で、安心して乗ることができました」

そして、築地から乗車したのは、アフリカからの観光客。またも外国人客です。

ハッサンさん
「すしは食べましたか？」

アフリカからの観光客
「まだなの。和牛ビーフにはトライしたわ」

ハッサンさん
「すしは好きですか？」

アフリカからの観光客
「ええ」

ハッサンさん
「私はワサビがないとすしが食べられません」

アフリカからの観光客
「私は、辛いのは苦手」

すしの話題で盛り上がりました。

インバウンド客が戻るなか、ますます活躍の場が増えそうです。

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“あの手この手”で人材確保に動くタクシー業界。人手不足で1日30台ほどが稼働できないというコンドルタクシーが積極的に採用しているのは、芸能界で生きる人たちです。

コンドルタクシー　岩田将克代表取締役社長
「芸能活動とタクシー業務の“掛け持ち”ですね。その人たちをターゲットにして採用活動に力を入れています」

ドライバーの伊勢さんに話を聞きました。元々は、芸歴3年のお笑い芸人です。

収入が安定しないため、芸人を始めると同時にタクシードライバーになったといいます。

ふわふわマカロン　伊勢真也さん（37）
「急きょお仕事をいただいた際に、休める仕事とか、（シフトを）代わっていただける仕事を探した際に、こちらを紹介していただいて」

夢と仕事を両立できるよう、少しの時間からでも働けるのが魅力の1つ。会社も急な仕事などスケジュールの融通をきかせてくれるそうです。

ふわふわマカロン　伊勢真也さん（37）
「お金もそうですし、心にも余裕ができるので、芸人として集中できるかな」

会社とドライバー、互いにメリットのある仕組みがタクシー業界を支えていました。