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【解説】「国語に関する世論調査」 新しい使い方も 「ぶっちゃけ」の使用は気になる? 年代別に“半端ない”差が…

2022年10月3日 21:03
【解説】「国語に関する世論調査」 新しい使い方も 「ぶっちゃけ」の使用は気になる? 年代別に“半端ない”差が…

文化庁が「国語に関する世論調査」 を実施し、「自分の言葉遣いに課題がある」と感じているかどうかなどが調査されました。

・読めても“書けない”
・「姑息(こそく)」本来の意味は?
・「ぶっちゃけ」気になる?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■文化庁「国語に関する世論調査」  “情報機器の普及”影響は

文化庁は今年1月から2月にかけて、全国の16歳以上6000人を対象(有効回答3579人)に「国語に関する世論調査」を行いました。その結果の一部を紹介していきます。

「言葉や言葉の使い方について、自分自身に課題があると思うか?」との質問では、「あると思う」と答えた人が67.6%でした。

その“課題”として最も多かったのは、「改まった場でふさわしい言葉遣いができないことが多い」という回答で、次いで「敬語を適切に使えない」という回答でした。

「言葉を話す」ということだけでなく、「書くこと」にも自信をなくしている人が多いようです。

「情報機器の普及で、言葉や言葉の使い方が影響を受けると思うか?」という質問では、「受けると思う」と答えた人が90.6%でした。具体的には、「手で字を書くことが減る」、「漢字を手で正確に書く力が衰える」という回答が多かったです。つまり、“読めても書けない”人が多いという結果になりました。

■「割愛する」「姑息」本来の意味を知っている人は…

「言葉の本来の意味を知っているか」を問う項目もあり、次の3つの言葉についての回答結果を見ていきます。

●「揚げ足をとる」
(1)言い間違いや言葉じりをとらえて、責めたりからかったりする 65.9%
(2)失敗ややり損ないを見て、責めたりからかったりする    23.7%

本来の意味は(1)で、6割以上の人がきちんと理解していました。

●「割愛する」
(1)不必要なものを切り捨てる  65.3%
(2)惜しいと思うものを手放す  23.7%

本来は(2)の意味ですが、最近は(1)の意味で認識している人が多いという結果になりました。

●「姑息」
(1)一時しのぎ 17.4%
(2)ひきょうな 73.9%

73.9%の人が(2)という意味で使っていましたが、本来の意味は(1)ということで、これを知っている人は17%ほどしかいませんでした。

■“新しい使い方”辞書に記載も… 本来は

「以下に挙げた言葉を使うことがあるか?」という質問もあります。

(1)ちがくて
(2)あの人は走るのがすごい速い
(3)あの人みたくなりたい
(4)なにげにそうした
(5)半端ない
(6)ぶっちゃけ

これらは文法的には正しくないとされる場合がありつつも、今や新しい使い方として辞書にも記載されているそうです。本来ならどのような言い方をするのか、見ていきます。

(1)ちがくて→そうではなくて
(2)あの人は走るのが「すごい」速い→あの人は走るのが「すごく」速い
(3)あの人「みたく」なりたい→あの人「みたいに」なりたい
(4)「なにげに」そうした→「なにげなく」そうした

「半端ない」は本来、「中途半端ではない」です。また、「ぶっちゃけ」について、調査結果の文案では「正直なところ」と言い換えられていました。

では、こうした本来の使い方とは少し異なる新しい言葉について、都内で3日、街の人にどう思うかを聞きました。

20代
「『ちがくて』とかは言っちゃうことありますね。後輩に『半端ない』とか使っている子はいるので、うーん…って思うこともありますけど、でもそこで注意したりとかはしないです」

70代
「『ぶっちゃけ』とか聞いたことあるな、若い人が言っているの」

――違和感をもったことは?

20代
「前は感じてたけど、今は感じなくなりました」

70代
「慣れちゃってね」

20代
「目上の人には使わないかな」

調査結果によると、最も多く使われているのが「『すごい』速い」で、次が「なにげに」です。「半端ない」と「ぶっちゃけ」も“なにげに”多く、4割を超えています。「ちがくて」などはやや少ない、という結果になりました。

“新しい言葉”「使うことがある」
(1)ちがくて          20.2%
(2)あの人は走るのがすごい速い 59.0% 最多
(3)あの人みたくなりたい    24.4%
(4)なにげにそうした      47.1% 2位
(5)半端ない          46.4% 3位
(6)ぶっちゃけ         41.4%

■「ぶっちゃけ」気になる? 世代で“半端ない”差が…

これらの言葉を聞いて実際に「気になる」人、「気にならない」人も分かれています。例えば「ぶっちゃけ」という言葉では、明らかに世代が上になるほど「気になる」人が多いことが分かります。

「ぶっちゃけ」気になる?
16~19歳 19.2%
20代   20.2%
30代   22.2%
40代   28.3%
50代   33.1%
60代   46.6%
70歳以上  65.7%

年代別に“半端なく”分かれているという結果になりました。

    ◇

メディアとしては、できるだけ言葉の本来の意味や使い方を大事にしていきたいと思います。一方で、確かに将来、思いがけない言葉が予想もできない形で辞書に載っているということも、容易に考えられます。それはそれで、“ぶっちゃけ”楽しみではあります。

(2022年10月3日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)