こどもや子育て支援策の実現と財源を!と訴え
こどもや子育て世帯の支援を行う市民団体による集会が東京都内で行われ、安心してこどもを産み、育てるには、妊娠・出産の無償化や、妊娠初期から全家庭に寄り添う子育て版のケアマネジャー制度の創設などが必要だと改めて訴えました。
国会近くで行われた「こどもまんなか政策の実現をあきらめない院内集会」には、こどもや子育ての支援を行う市民団体やこども子育て政策に関わる与野党の国会議員などが出席しました。
市民団体は、他の先進国では“あたりまえ”となっているこども子育て政策の実現を、と政府や国会に求めました。具体的には妊娠・出産を原則無償にすること、妊娠初期から全家庭に寄り添って必要な支援を調整する子育て版のケアマネジャー制度を創設すること、こども子育て政策の財源倍増などを挙げました。さらに、保育現場からの参加者は、すべてのこどもの権利として、健やかに育つ環境を保障するための「皆保育」の実現と、保育士の配置基準を先進国水準の15対1とすること、さらに保育の「質向上」を促す監査制度として「日本版Ofsted」を創設することを求めました。
さらに、公益財団法人あすのば理事で日本大学教授の末冨芳教授は、児童手当の拡充や、親の就労を問わない「こども誰でも通園制度」など、政府のこども政策を評価した一方、さらに安心して子育てをできるようにするために、数年前から「財源・財源・財源」と述べて来たとし、安定した財源を確立する重要性を訴えました。
また、働き方改革に取り組むワークライフバランス社の小室淑恵社長は、長時間労働社会では、男性が早い時間に帰宅できず、妻が1人で仕事も子育ても背負う、これではこどもは増えにくいと指摘。フランスでは労働時間の法規制を週35時間とするなど、海外では長時間労働から脱却して、キャリアを失わずに子育てと仕事を両立できるように働き方を変えている、とし、労働基本法改正もセットで行うべきと強調しました。
また、埼玉県議会の虐待禁止条例改正をめぐり、反対する署名活動を行った、みらい子育て全国ネットワーク代表の天野妙さんは、「こども基本法」によって義務化された、国や自治体がこどもや子育てに関する政策を進める際に、当事者の意見を聞くことの重要性を強調し、滋賀県東近江市長の「不登校は親の責任」発言については、子育てには親の責任もある一方で、「行政の責任はどこにいったのか」と述べ、社会全体で子育てを進める視点の欠如を指摘しました。
そして、こどもをめぐる政策の実現が優先されず、後回しにされがちだという背景について、子育て支援拡充を目指す会代表の工藤健一さんは、「子育てをしている最中には、政治や社会に訴える余裕がなく、気づけば(自分が抱える子育ての)問題が終わっている、ということがこれまで続いてきたが、できる人ができる範囲で、子育て当事者の置かれている状況を知ってもらう努力をしないといけない」と呼びかけました。