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復旧へ課題…足りない災害ボランティア、少ない活動時間 能登半島地震から2か月

2024年3月1日 23:11
復旧へ課題…足りない災害ボランティア、少ない活動時間 能登半島地震から2か月
能登半島地震から2か月。被災者に立ちはだかる、生活再建の課題とは――。藤井貴彦キャスターが石川県輪島市で取材すると、見えてきたのはボランティア活動が進まない現状でした。

■仮設住宅の供給追いつかず “足りない”災害ボランティア

藤井貴彦キャスター(石川・輪島市、3月1日)
「私は、発災から2か月がたった石川県輪島市の『マリンタウン』に来ています。その名のとおり日本海を望むことができるんですが、その前の堤防がえぐられています。また、液状化したかのように、地面には平らな部分がほとんどないという状況です。

平らな部分がない、という点で言うと、実は、私の立っているところと、カメラマンのいるところには“段差”があります。かなりの段差がずっと続いていて、路面がひび割れています。さらに、路面から土の部分にかけて、ずっと1本の亀裂が走っているのがわかります。

さらに、応急仮設住宅が後ろに並んでいるんですが、木のスロープがあり、奥までゆっくりとご高齢の方が上がっていけるように、工夫がされているということです」

藤井キャスター
「この応急仮設住宅は、新たに28戸が完成しました。申し込みが行われ、すべて入居する方が決まったということで、早い方では3日から入居されるということです。

元日に最大震度7を観測した輪島市では、住宅被害が1万棟以上にのぼり、今なお、約2000人が避難生活を送っています。

生活再建の拠点ともなる仮設住宅ですが、完成しているのは、石川県全体で300戸程度です。石川県で着工したのは、3500戸あまりということで、足りているように思われるかもしれませんが、実は、輪島市だけでも、4000件を超える入居申請があり、受け入れの面でも課題があるといえます」

「そのために必要になってくるのが、やはり、『ボランティア』の存在です。今回、取材したボランティアセンターには、全国から多くの方が集まっていました。

ただ、見えてきたのは、活動が進まない現状です。ボランティアには、県全体で約3万人が登録していますが、その活動は人数も時間もいまだ限定的です。

なぜ妨げが起きているのか、取材しました」

■金沢市から日帰りのボランティア 課題は“少ない活動時間”

3月1日、冷たい雨が降るなか、金沢市からバスに揺られ、石川県輪島市にボランティアの人たちが集まりました。

藤井キャスター
「金沢駅、何時に出たんですか?」

金沢から来たボランティア
「朝6時半くらいですかね」

藤井キャスター
「どんな思いでボランティア活動を?」

金沢から来たボランティア
「少しでもお役に立てたらいいなと」

その後、それぞれの“持ち場”へ移動し、家財道具の運び出しなどを行います。

“少しでも役に立ちたい”…その一心で、作業を進めますが――

金沢から来たボランティア
「“もっとやりたいな”という気持ちはあるんですけど…なかなか、うまくいかないなというのはあるかなって」

日帰りで金沢へ戻るため、作業できるのはわずか数時間。実は、輪島市など特に被害が大きかった地域周辺に、ボランティアが宿泊できる施設がないのです。

そこで、2月26日(月曜日)に穴水町につくられたのが、ボランティアの宿泊拠点となる「奥能登ベースキャンプ」です。

廃校になった中学校の体育館にテントを張るなどして、最大100人のボランティアが泊まれるようになりました。

これまで毎朝、金沢市に集まり、被災地に向かっていたボランティア。輪島市や珠洲市までは車で片道3時間以上を要し、作業後はまた金沢に戻るので、さらに3時間以上かかっていました。

今回、輪島市や珠洲市にも近い穴水町に宿泊施設をつくることで、移動を減らし、その分を作業時間にあてることができるのです。

■ボランティアへの依頼進まず 人手不足などで「現地調査」に時間かかり…

ただ、ボランティアの課題は、これだけではありません。

最大震度7を観測した志賀町では、これまでにのべ650件ほど、ボランティアの依頼があるといいます。しかし、2か月たった今でも、作業が終わったのは約350件にとどまっているといいます。

ボランティアの取りまとめを行う、社会福祉協議会に話を聞くと…

志賀町・社会福祉協議会 岡部亮事務局長
「うちの職員だけでは、まず到底無理な件数。施設のキャパシティーでは、現実的に500人~1000人来ていただいても、とてもさばけるような状態ではないので、そのへんのジレンマもあります」

ボランティアを受け入れるには、まず依頼内容を把握する必要があるため、地元の社会福祉協議会が、住民立ち会いのもと、現地調査を行う必要があります。

しかし、その調査に時間と人手がかかり、結果的に、受け入れ可能なボランティアの数も限られてくるというのです。

とはいえ、高齢の住民にとっては、すぐにでも来てほしいボランティア――。
志賀町の依頼者の家を訪ねると、地震から2か月たった今も、家財道具が放置されたままになっていました。

依頼者
「これもダメ。これを出されんさかい。男3人4人で出されんさかい」

家財道具は、家の外にも…

職員
「これも地震で倒れた?」

依頼者
「倒れた。湯飲みやら飾ってたのが、倒れた」

職員
「中のものも出ちゃった?」

依頼者
「そうそう」

また、調査で重要なのが、建物の状態を確認することです。

職員
「“危険だから家から出てね”とは言われてない?」

依頼者
「それは言われてないです」

職員
「わかりました」

建物の状態によっては、ボランティアが入れないと判断し、依頼を断るケースもあるといいます。

志賀町・社会福祉協議会 岡部亮事務局長
「一般ボランティアとして入るには危険である場合には『ごめんなさい、ちょっと今回は入れません』とお答えせざるを得ない時もあります。諸事情を整備できて初めて(ボランティアの)増員になるかと思います」

■ボランティアと被災者ニーズの“マッチング”が課題の1つ

藤井キャスター
「なかなかボランティアの皆さんと、ニーズのマッチングが難しい状況が続いているのですが、いまお伝えした課題のほかに、赤い“危険判定”の紙が貼られている建物が多くあるんですが、その方が避難をしていて、“建物の中の物を出してほしい”というニーズ自体が届かない、という一面もあるということです。

ボランティアの皆さんの気持ちというのをなかなか届けづらい状況、ここを1つの課題として、乗り越えるべきポイントなのではないかと感じました」

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