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“命の危険”がすぐ目の前に…「記録的な大雨」各地で被害

2022年8月5日 22:20
“命の危険”がすぐ目の前に…「記録的な大雨」各地で被害

東北や北陸などを中心に各地で記録的な大雨となり、被害が出ています。福井県では自宅に取り残されるなど、“命の危険”が目の前に差し迫っていて、救助活動が行われました。東日本や西日本では、5日夜にかけて、激しい雷雨となるところがあり、引き続き警戒が必要です。

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5日も列島各地を危険な雨が襲いました。

福井県では、「記録的短時間大雨情報」が相次いで発表されました。南越前町では川から茶色く濁った水があふれ、すさまじい勢いで住宅へと迫る様子がカメラに捉えられました。

線路の上を濁流が流れ、至る所で車が横転。膝まで水につかった人の姿も見られるなど、“命の危険”がすぐ目の前に差し迫っていました。

自宅に取り残され、2階から合図を送る人もいました。消防のボートが出動し、高齢者から優先的に救助活動が行われました。

救助された住民
「向こうの川が氾濫したっていうので、これは危ないと思ったので、すぐに2階に走って逃げたんですけど」

福井県内では、北陸自動車道のトンネル付近に大量の土砂が流入し、通行止めになっていました。南越前町の国道でも土砂崩れが相次いで発生し、4つのトンネル内に車両数十台が立ち往生しました。

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同じく、「記録的短時間大雨情報」が発表された滋賀県長浜市では、午前9時過ぎ、市内を流れる「高時川」が氾濫。茶色く濁った水が住宅へと迫っていました。

近所の住民
「恐怖しかなかったですね。今までに経験したことがないような増水の仕方ですからね」

住民たちを一層不安にさせたのが、巨大な木が倒れ、橋を遮ることで“孤立”してしまう恐怖です。

川の付近の住民
「『避難せい』と言われてもどうしようもないので、こっちにいたら孤立なっちゃう」

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各地の被害も拡大しています。山形県にあるサクランボ畑では、来年分の「芽」が、ようやく出始めたばかりですが――

サクランボを育てる女性
「そのゴミがたまっているところまで、水位が上がったということで」

「こういう芽が全部、泥とかでふさがってしまうと、葉っぱが枯れたり、来年の作柄に影響が出るので。つらいですね。せっかく植えてここまで育ててきたのに」

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新潟県村上市は、観測史上最大の記録的な大雨に見舞われました。5日、私たちが出会ったのは、自身が生まれ育ち、今は母親と妻の3人で暮らす思い出の家を土砂崩れで失った高野重夫さん(52)です。

「え~」

「何もない、何もない」

流木が重なった場所が、もともと家があった場所だといいます。家族は全員、避難していて無事でした。

土砂崩れで家を失った高野重夫さん(52)
「玄関でしょ、ここは車庫で、ここに物置小屋」

高野さんは、ありし日の家の間取りを確かめます。実は、この家があった場所では――

高野さん
「2回目なので、おやじ・おふくろもこんな思いをしたんだなと思いますね。おふくろなんて2回目だから」

高野さんの姉
「母親も話しているけど、多分つらいと思う」

高野さん
「2回目だから、本当につらいと思いますよ」

50年ほど前にも大規模な水害に見舞われていて、高野さんの母親にとって、家を失うのはこれで2度目です。

高野さん
「(午前)2時だね、2時に止まったんだと思います」

家族との大事な時を刻み続けてきた掛け時計。家が流されたであろう時間に止まっていました。それでも――

高野さんの姉
「命が助かったから…良かったよ」

高野さん
「仕方ないね、頑張るしかない」

高野さんの姉
「負けていられない」

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この週末は、再び局地的な雷雨になるおそれもあり、住民に不安な日々が訪れます。