大雨被害から2週間 由利本荘市と上小阿仁村のいま
記録的な大雨の降り始めから2週間。由利本荘市では被害があった住宅で後片付けが進められているほか、農作物の深刻な被害を7日、農林水産副大臣が視察しました。上小阿仁村も復旧は道半ばで、住民からは氾濫した川の堤防を高くすることなどを求める切実な声が上がっています
記者リポ「由利本荘市の石沢川です、大雨の影響で決壊した堤防の応急復旧工事が終わっています」
先月の記録的な大雨で子吉川と支流の石沢川は堤防の一部が決壊し、田んぼなどに水が流れ込みました。国交省秋田河川国道事務所が24時間体制で工事を進め、石沢川は2日に、子吉川は4日にそれぞれ仮復旧が完了しました。今後、国の災害査定を受けて本格的な復旧が始まります。
住民の生活再建は少しずつ進んでいます。
子吉川の支流があふれ多くの住宅が床上浸水した由利本荘市の久保田地区。
1メートル以上水に浸かったというこちらの住宅ではようやくぬれた壁や床をはがし終えました。
須田仁さん
「家の中の床に溜まってる泥、これ何とかしてしないとなんとも。他のところに手付けられないんで」
土日はボランティアの手を借りられたものの、平日は家族のみの作業で片付けは思うようには進まないといいます。
♪須田仁さん 中でインタ「自分で建てたうちですからね、できるだけ元に戻したいとは思いますどね、できるかどうかはわかんないんで」
一方、由利本荘市の西目地区では農地が深刻な被害を受けています。
鈴木農林水産福大臣が7日、田んぼを視察しました。
県の説明
「西目川が氾濫して農地に浸水した分、そして沢水が入ってきた分両方ございまして、この西目地区ほぼ全域にわたって水が」
鈴木農林水産副大臣「どうした方がいいと思います?現場でやってる感じから見て」
三浦誠さん「我々がどうしたらいいのかわからないので教えて欲しい」
西目地区で農事法人を営んでいる三浦誠さん。西目川沿いにある農地のほぼ全てが水に浸かりました。
稲の穂が出る重要な時期に田んぼが崩れて水が引けなくなっただけでなく、流木や石が中に入り、農機具での作業もできない状態だといいます。
三浦誠さん
「本当わかんないな、どうすればいいか、さっきから何回も言うけど、なにからすればいいか」
被害を受けたのは稲だけではありませんでした。
「大豆です、これ全部大豆です」
畑にアスファルト
「あそこまでアスファルトなんですよ、多分それがはがれて流されてきたのかなと」
道路も壊れるほど強い流れの水にさらされた大豆。栽培するうちの半分およそ10ヘクタールが被害を受けました。
三浦さん
「どこまで手をかければ」
水に浸かった大豆はもう収穫できないといいます。三浦さんは農業を続けるためには被害に遭った農地の復旧や、廃棄になる農産物の補償などの支援が必要だと話していました。
上小阿仁村では…
先月の記録的な大雨で決壊した五反沢川が流れる上小阿仁村の中五反沢地区では、6日夜、小林悦次村長や村の幹部職員と、住民との懇談会が開かれました。
今年度の村の施策について意見交換するため、大雨の前から計画されていた懇談会ですが、住民たちからは五反沢川に関する要望が相次ぎました。
先月25日の深夜、記録的短時間大雨情報が出された上小阿仁村では、五反沢川から大量の水が田畑へと流れ出し、一帯はまるで湖のような状態となりました。
決壊した堤防の応急工事は終わりましたが、大雨から2週間経った7日も田畑には大量の土砂や流木が残されたままとなっています。
五反沢川が氾濫するのは、これで3年連続。
住民たちは、河川の改修や堤防のかさ上げを村に求めていましたが、再び大雨に襲われました。
農家からは、「毎年の被害にこれ以上耐えられない。もう農業をやめようと思う」という声が上がりました。
上小阿仁村 小林悦次 村長
「このままだと災害は毎回起きるもんだというふうに思っていますので、それを何とかしないといけない。県管理とは言っても、村でもお金出すから堤防を高くしてくださいとかそんなことをお願いできないかなっていう風なことで、いま少し考えておりますので」
小林村長は、五反沢川の堤防のうち、危険性が高いところから、早期にかさ上げ工事などができないか検討していることを明らかにしました。
中五反沢集落 石川孝広 会長
「ピンポイントで災害が起きる場所があるので、そこを何とか早急に直していただきたいなと思っています」
一方で、復旧に向けた動きも進んでいます。
五反沢地区では、道路まで押し寄せた流木を撤去する作業が、7日、始まりました。
村では、道路に残されている流木の撤去を順次行っていく方針ですが、完了のめどは立っていないのが現状です。
また、田んぼの中にある流木の撤去は、収穫が終わった秋以降になる見込みで、3年連続で大雨に見舞われた上小阿仁村では、今年も実りの秋に深刻な影響が出る恐れがあります。